騎士たちの集会所(Knight 短編小説)

□魔法の言葉(子豚様とコラボ)
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「ふぅ……ようやく、ケリがついたな」

男をたおすと、ガラスの中で眠っていた人たちも目を覚ました。

ほっとした顔をして、ギルドが言う。

「あ、そうだ、ギルド!」

レインはギルドに駆け寄ると、明るく笑って、言った。


「迎えに来てくれて、ありがとう!」

「ありがとうございます」

「……おう」

照れくさそうに笑う。

三人は笑いあった。

その様子を見て、フィアとルカもほっとしたような笑みを浮かべる。

「さて、三人とも。今回は厄介な事件に巻き込んじまって、すまなかったな」

「申し訳ない」

ルカたちが謝ると、三人は気にしないで、というように笑った。

「私たちは元の世界に帰れるんですか?」

辺りを見て、クローディアが問うと、フィアはこくりと頷いた。

「先ほど、アンバー様とジェイド様が異世界に繋がる通路を開いてくださいました。

 あそこを通れば、レイン様たちの世界に帰れます」

フィアが指さすのは、大きな白い扉。

そこに、さっきまでガラスケースの中で呆然としていた人たちが嬉々として歩いていく。

「ありがとう!じゃあ、私たち、帰るね?」

「みんなも、心配しているでしょうし……」

「そうだな」

三人が頷くと、ルカとフィアはその扉の前まで、三人を見送りにいく。

「仲間を、大切にな」

「わかってるよ!」

「フィアさんも、お気をつけて」

「えぇ。クローディア様も、道中お気をつけて。あなたにも出会えて、良かったです。

 いつか、レイン様たちのほかのお仲間にもあいたい」

フィアが笑顔をかえすと、レインたちも笑った。

「じゃあ、いくな!」

手を振って、ギルドは扉の向こうに消える。

クローディアとレインも、それを追った。

「ふう。一件落着、だな」

やれやれ、と呟いたルカに、フィアは声をかけた。

「……ありがと」

「……おう」













一方こちらは……

「ただいまー!」

「レイン!クローディア!ギルド!」

「帰ってきたぜ。全員無事に、な」

笑顔で、仲間と再会する。

そんなに長く離れていたわけではない。

それでも、かけがえのない仲間だからこそ。




―― 大切にしたいんだ。




「お帰り!」




その優しい言葉は、まるで、魔法の言葉の用でもあった。









魔法の言葉 fin



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