騎士たちの集会所(Knight 短編小説)

□魔法の言葉(子豚様とコラボ)
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「!」

白い光があふれ、その場に至る形は目を閉じた。

次に目を開けたとき。

ガラスケースが砕け、中からレイン、クローディア、フィアが出てきた。

ガラスを砕いたのは、どうやらフィアらしい。手元に、大きな氷柱が握られている。

「ったく……無茶しやがる」

剣で相手の男を払いながら、ルカがつぶやく。

フィアは、ふんと鼻で笑った。

「こうでもしなければ外に出られないだろ」

「私が砕くって言ったのに」

残念そうにレインがいえば、

「怪我するだろうが!」

ギルドが怒った。

「あはは!ごめん!

 じゃあ、とりあえず、このヒトを倒そうか」

レインは男に向き直る。

クローディアも、魔術を使う構えだ。

男はこの圧倒的不利な状況でも、笑っていた。

「こうしたら、どうです?」

ぐにゃり。

男の姿が歪み……変わった。

それを見て、はっとする。

「ギルド……?」

本物のギルドが"ギルド"を見て、絶句する。

見た目は、全く同じなのだ。

「こうしたら、どうだ?」

声も、全く同じ。

「敵を斬ることは躊躇わずとも……」

つぶやく声が変わる。

男にしては高い、女性的な声。

そして、男の姿は……

「今度は、フィアに……!」

「"味方の姿"をしていたら、きることを躊躇うだろう?お前たちは、そうして縋りあって生きているのだから」

あざ笑うように言って、男はルカの剣をはじいた。

ルカがしりもちをつく。

「お前らは弱い……この姿をしていれば、斬ることは出来ないだろう?」

嗤う。

男は、嗤う。

貴様らは弱いと、そういって。

「声が届いたところで……」



―― 俺をたおすことは出来ない!





「……それは、どうだろうね?」

レインはつぶやくと、男に詰め寄った。

すばやくギルドの姿に変わる男。

レインは躊躇いなく、"それ"を、こぶしで打った。

「っ!?」

何故。

そういう顔をする男。

「ぜんぜん違うもん!ギルドじゃないってわかってるから、平気だよ!!」

ギルドが傷つくのは嫌だけど。

レインはそういって、笑った。

その様子を見て、ギルドも、クローディアも、フィアとルカも……笑った。

「そうだな」

「これは、私たちの仲間ではない」

「本当の仲間の姿を、声を知っているのなら……」





―― 幻影を討つ事に、どうして疑問をおぼえようか。





「仲間を連れ去った罪……」

「仲間の姿をとって、侮辱した罪……」



しっかり受けてもらうから。

そういって、五人は笑った。





 
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