騎士たちの集会所(Knight 短編小説)
□魔法の言葉(子豚様とコラボ)
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「ねぇ、フィアはどうしてここにつれてこられたの?」
「……罠にはまった、というのが正解です。お恥ずかしい話ですが……」
レインのといにフィアはひとつ溜息をついてから、説明した。
「俺は、この事件……
つまり、レイン様やクローディア様、ほかの方々を誘拐していた、ある男を捕まえるため、調査をしていました。
それで、ようやくこの場所がアジトだと、突き止めたのです。
しかし、中に入っても何もなく、誰もおらず……帰らなければ、そう思ったときに、目の前にルカがいて」
―― ルカ?何でここにいるんだ?お前はこの任務ではないだろう?
―― お前を迎えにきたんだよ。遅くて心配になったから。
「でも、おかしいと思った。"これはルカじゃない"って、反射的に思ったんです。
でも、そう思ったときには遅くて……」
「魔術をかけられ、この世界に閉じ込められてしまった」
クローディアの言葉に、フィアは力なく頷いた。
「まったく……情けない話です」
「私たちも、全く同じパターンなんだ。だから、もしかしたら、ここにいるみんな、そういう手で連れてこられたのかも」
レインがいうと、フィアは頷いた。
「あぁ。そうらしい。
ただ……誰一人、ここからの脱出方法を知らない。
俺は、知っている。でも……」
「え?!知っているんですか?!」
フィアの言葉の端を捉え、クローディアが叫ぶ。
フィアはふっと微笑んだ後、言った。
「えぇ。一応。この手の魔術に関する本は何冊も読みましたから」
「じゃあ……!」
出られるということではないか。
気体に満ちた目で、レインが見つめると、フィアは申し訳なさそうに眉を下げた。
「レイン様、期待させてしまって、すみません。
確かに、俺はここから出る方法を知っています。
でも……俺たちの力だけで、ここから出ることは、不可能なんです」
「え……?」
どういうことか、とクローディアがたずねると、フィアはいった。
「もし、俺が知っているその方法が正しいとしたら……"外の世界"にいる、俺たちの仲間……
俺なら、ルカやシストなどの騎士団の仲間、
レイン様、クローディア様なら、ギルドなどの、お仲間が迎えにこないと……この魔術は解けない」
「つまり……」
「"世界を超えて"助けに来てくれる人がいない限り、俺たちはここにいるしかない。ということです」
フィアの言葉に、クローディアは「そんな……」とつぶやいた。
フィアもうつむく。
それが相当難しいことだと思っていたから。
しかし……
「なんだ。だったら大丈夫だよ!」
「え?」
レインの明るい声に、フィアとクローディアは顔を上げる。
レインはニコニコと笑っていた。
「大丈夫だよ!ギルドたち、きっと助けに来てくれるもん!」
「ここが、異世界なのにですか?」
「きっと、その辺はルカさんが何とかしてくれてる!」
きっぱりと言い切るレイン。
それを見て、クローディアは表情を和らげた。
「そうですね。きっと、助けに来てくれますよね」
「そうして、私たちがこの世界から出られたら、その魔法をかけた人を倒して、ここにいる人たちも助けてあげよう?」
ね!とレインがいう。
フィアはしばし驚いたように彼女を見つめた後、ふっと微笑んだ。
「本当に……まっすぐな女性(ヒト)だ。俺には、まねできないよ」
「へへっありがと!じゃあ、お迎え車で待ってよう!」
明るくレインがいうと、クローディアとフィアも頷いた。
―― 待ってるよ。だから、早く……迎えに来て。