騎士たちの集会所(Knight 短編小説)

□魔法の言葉(子豚様とコラボ)
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一方、そのころ……



「んん……」

ぱちり、と目を開けて、青い髪の少女はあたりを見渡した。

多くの人間が、途方にくれたように、座っている。

いったい自分は何故こんなところに?

レインは一瞬混乱する。

「目が覚めましたか?レイン」

「!クローディア!」

レインは心配そうに自分を覗き込む、黄色の瞳に、ほっとした顔をした。

「ねぇ、ここどこ?」

「"夢の世界"、だそうです」

「え?夢?」

クローディアは頷いた。

レインより少し早く"この世界"で目を覚ましたクローディアは、周りにいる人間に聞いて回ったのだ。

この世界はなんなのか。

自分たちは何故こんな世界にいるのか、と。

それで、わかったことは……

「私たちが、町であった"ギルド"に、魔法をかけられてこの世界に閉じ込められたんです」

「……やっぱり、偽者だったんだ」

レインは、小さくつぶやいた。






先ほど、二人で買い物を済ませ、ギルドたちとの待ち合わせ場所に向かっていたときだった。

「遅いぞ、二人とも!」

「あ。ギルド」

「ごめんなさい」

迎えに来たらしい”ギルド”に声をかけられ、二人は謝った。

まぁ、いいや。と"ギルド"はいって、歩き出した。

「ほら、帰るだろ?」

そういって、振り向いたギルドを見て、レインは違和感を感じた。

「あなた……」

"ギルドじゃないでしょ"といいかけたレイン。

彼女を見て、"ギルド"はふっと笑った。

「……気づかれたか」

それと同時。白い光が、レインとクローディアを包んだ。

抵抗する暇なんて、なかった。

自分の仲間と同じ姿をしていた彼を見て、一瞬で気づけなかった自分を恨む。

でも、それどころではないと、体で感じていた。

そして目を覚ましてみたら…この世界にいたのである。








「今、私たちは眠っている状況で……"ある条件"をクリアしないと、二度とこの世界から、逃げ出せないんだそうです」

「条件?」

「それがわからなくて、ここにいる人たちは途方にくれているんでしょう」

不安げな顔をして、クローディアはあたりを見渡した。

どこを見ても、絶望した顔をする人ばかり。

レインもつられたようにあたりを見渡した。

そして、あ!と声を上げた。

「フィア?!」

ある人物に向かって駆け寄りながら、レインはその名を呼んだ。

クローディアもあわててレインを追う。

レインが駆け寄ると、その人物は青い瞳を二人に向けた。

驚いた顔をしている。

「レイン様?何故…あぁ、あなたも……巻き込まれてしまったんですね」

すみません、というとフィアはうつむいてしまった。

「何でフィアが謝るの?」

「……こういった輩を捕らえるのが、我ら騎士の役目。それなのに、異世界の方々まで巻き込んでしまっては……」

「フィアの所為じゃないでしょ。こんなことしてる本人が悪いんだよ!

 だから、謝らないで?」

ね?と優しく言われると、フィアは思わず顔を上げ……微笑んだ。

「その優しさも、お変わりないようで、ほっとしました……そして、お隣の方は、お仲間ですか?」

フィアが問うと、レインは笑って頷いた。

「前に話したでしょ?クローディアだよ!」

「あ……よろしくお願いします」

自分のことを話していたのか、と驚きつつ、クローディアが頭を下げると、

フィアはふっと微笑み、クローディアの手の甲にキスを落とした。

「フィア・オーフェスと申します。ディアロ城騎士団所属の騎士です。以後、お見知りおきを」

「フィアも変わってないね」

レインが笑顔でいうと、フィアは照れくさそうに頷いた。

「一人じゃないとわかって、少しほっとしていたところです。

 こんなところに一人で閉じ込められるのは……嫌ですからね。

 早く、打開策を練りましょう」

真剣な顔をしてフィアがいうと、レインとクローディアも、こくりと頷いた。

 
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