騎士たちの集会所(Knight 短編小説)

□魔法の言葉(子豚様とコラボ)
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「じゃあ、いくぞ。この薬を飲んでくれ」

ルカは小さな瓶をギルドに渡した。中には透き通った液体がはいっている。

「それで、この世界と向こうの世界を行き来できる。俺もそれを使ってここにきた。

 でも、気をつけろ。思いがぶれると、別の世界に飛ばされる。

 迎えに行きたい、行くんだと、強く心の中で願え」

そういうとルカは自分が手に持っていた薬を一気にあおった。

ギルドも、飲む。

不思議な感覚が、体を襲う。

あぁ、これが世界を飛ぶということか。そうおもうまもなく、辺りが白い世界に包まれた。














「……う」

「目、覚めたか?」

ギルドが目を開けると、そこは深い森だった。

どうやら、ちゃんとついたらしい。

ルカがほっとした顔をしていた。

すぐに顔を上げると、ルカは言う。

「奴のアジトの、すぐそばの森だ。ここは」

「あぁ……すぐに、つれてかえる」

つれて帰って、旅を続けるんだ。

趣味?そんなふざけた奴に、仲間を奪われてたまるか。

ギルドはそう重い、きつくこぶしを握った。

そして……ふと気づく。

いない。

あの時、一緒にいた、"彼"がいない。

「ルカ、フィアは?」

その言葉に、ルカの表情が一瞬こわばった。

「……まさか」

「そのまさか、だ」

どうやら、フィアも連れて行かれたらしい。

そこでようやくギルドは事の重大さに気づいた。

「レインも、クローディアも、フィアも……そこそこ強いはずなのに」

「それが問題なんだ。何故、いとも簡単に誘拐できるのか……それが、いまだにわからない」

ルカはそういうと、ひとつ深呼吸をした後、歩き出した。

「いくぞ。ここでとまっている場合じゃない。さっさと、迎えに行こう。

 "代表"なんだろ?」

にかっとわらうルカ。

ギルドはふっと笑みを返し、力強く頷いた。












「ここか?」

「あぁ」

二人がたどり着いたのは、巨大な廃墟だった。

こんなところに人がいるのか。そういう疑問が浮かぶほどに、朽ちた廃墟。

ルカはギルドの肩を叩く。

「いくぜ」

「おう」

ルカは剣を握り、ギルドも魔術を使う構えを取る。

感じていた。

廃墟の周りから、異様な気配を。

と、同時に。

多数の魔獣が襲い掛かってきた。

「こいつらが第一関門ってことだな!」

「あぁ。そういうことだ!」

ルカは剣を振るう。

ギルドは魔術で魔獣をなぎ払う。

連れ去られた、仲間をとりもどすために。


 
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