騎士たちの集会所(Knight 短編小説)
□Orange Rose
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「寝なおせないならさ……一緒に、散歩に行かねぇ?」
「え?」
シストからの誘いに、ロゼは目を丸くする。
「いや、姉貴が嫌ならいいんだけどさ……俺、普段ゆっくり寝ることってあまりないから、目が冴えちゃってさ。
姉貴がいいなら……な?」
にかっと、笑うシスト。
ロゼはしばし瞬きをしてから、うれしそうに笑った。
「あ、じゃあ私着替えるね!!」
そういって、早々に服を脱ぎ始めるロゼ。
唐突に服を脱がれては、いくらそれが姉でも、焦る。
「わ?!あ、あ、姉貴!!ふざけんなよ!」
あわててシストは自分のベッドに戻った。
「あれれー?シスちゃん、照れてるのー?」
「アホか!ガキじゃねぇんだぞ?!」
くすくすと笑うロゼ。
「別にシスちゃんに見られても構わないのにねぇ」
「俺が気にする!」
「えぇ?ロゼちゃんの下着姿見てドキドキしちゃうの?シスちゃんのエッチ」
「違う!」
かみ合わない会話。
しかし、明らかにロゼの声色は明るくなっている。
シストはそれを聞いて、あきれつつもほっとしていた。
「着替えたか?」
「うん!」
「じゃあ俺も着替えてから外行くから、先に外でてろ」
シストはそう言ってベッドから降りた。
寝巻に手を書ければ、ロゼが悪戯っぽく笑ってその手をシストの服にかける。
「な……っ?!」
シストは驚いて目を見開く。
ロゼはにこにこと笑いながら、言った。
「着替えさせてあげようか?」
シストは暫くぽかんとした後、顔を真っ赤にして、ドアを指差した。
「……出てけ、今すぐに!」
「冗談冗談!」
けらけらと笑いながら、ロゼは部屋を出て行った。
溜息をついて、シストは服を着替える。
「まったく……姉貴ってやつは」
そうつぶやきつつ、何処か嬉しそうな、シスト。
―― とりあえず、計画通りだな……
そんなことを思いつつ、シストは早朝の散歩の支度を進めた。
「シスちゃーん、準備できたー?」
「あぁ、できた」
シストは私服を着て部屋を出た。
それを見てロゼが驚いた顔をする。
「シスちゃん、騎士服じゃないの?」
「え?あぁ、今日は騎士の仕事は休みだ。
だから、普通の服着ていいかなぁって思ってさ……
騎士服だと、どうにも周りからの視線が痛いんだよ。
ま、朝も早いしその心配はないかもしれないけどな」
シストは笑顔でそう答える。
ロゼはしばし瞬きをした後、うれしそうに笑った。
「やった!騎士様じゃないシスちゃん、久しぶりに見たよー!じゃあ、早速出発!」
シストの手を取り、ロゼは元気よく歩き出す。