騎士たちの集会所(Knight 短編小説)
□Knight ― 純白の堕天使 ― お題小説(お題提供:あにょ様)
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Side ルカ
―― 今日は、厄日なんだ。
自分の中で、そういう結論が出た。
朝っぱらから、掃除してた新米メイドのおかげで服はぬれるし(叱りはしなかったけど)
書類任せてた奴が風邪なんか引いて仕事は進まないし。
―― あげく。
「……どこ行きやがった、あの馬鹿」
阿呆な従妹は姿を消した。
というのも、数時間前にさかのぼる。
〜 フィアの部屋 〜
いつものように、ノックなしで部屋にはいったところ。
「わぁ?!ば、馬鹿!入ってくるな!!」
いきなり枕を投げつけられたし。
いや、これは俺が悪い。ここまでは完全に俺が悪い。
でも、さ。
「何でだよ?着替えてるわけでもあるまいに」
そう、いつもならここまで過剰反応はしない。
着替えたりしてたなら謝るが、別段何をしていたというわけでもないのに、
ものすごい勢いで枕を投げつけられた俺の身にもなってくれ。
地味に、痛いんだ。
フィアは顔を真っ赤にしたまま、もう一度クッションを投げつけてきた。
「いいから出て行け!」
びゅんびゅんっと立て続けに飛んでくる物に驚きつつ、俺はドアを閉めた。
「いつからそんなに攻撃的になったんだよ、フィア!」
「たった今からだ!!もう、ここにくるな馬鹿!!」
「ちょっと待て、理由を説明しろ!そしたら出て行くから!」
理由もなく馬鹿馬鹿といわれるのは、ちょっと嫌だ。
そう思って、腕をつかめば、「あー」だの「うー」だのと唸った末に。
「もういいよ!馬鹿っ俺が出てく!!」
……そんな子供(ガキ)みたいな捨て台詞はいて、フィアは部屋を飛び出していった。
「……何なんだよ」
で。
喧嘩したままって言うのも気分が悪い。
だから、あいつを探していたわけだけど……
見つからない。
中庭も、集会所も、訓練所も、アルの部屋も行ったけど、やっぱりいない。
「あのヤロー……」
意地でも出てこないつもりだな。
……もう、知るか。
そう思って、放置することにしたんだけど……
「今日くらいは、ってさ……」
小さく、つぶやく。
目を閉じれば、浮かぶのは幼いころの自分。
なれない騎士服を着て、大きな剣もって。
懐かしい。
もう、アレから何年たつんだろう……?
―― ……カ…ルカ!!
「ん……」
誰かに呼ばれて、目を覚ました。
寝てたのか、俺。
身体を起こせば。
「……何やってんの、お前ら」
そこにいたのは、雪狼の騎士たち。
と、同時にすさまじい爆発音……基、クラッカーの音。
「わ?!」
「ルカ……いつも、ありがとう」
照れくさそうにそういったのは、喧嘩していた俺の従妹で。
あいつが俺に何かを突きつける。
「……え?」
「ぷ、プレゼントだ!!これをラッピングしてるときに貴様が部屋にはいってくるから……!!」
……なるほど。さっきの過剰反応は、その所為だったのか。
「……で、今日が何の日か、知っていたと」
俺が尋ねると、ほかの騎士たちが"もちろん"と頷いた。
「「ルカ(統率官)が雪狼のセラに任命された日」」
……そう。
俺が、騎士になって、雪狼という一段を率いるようになった日。
こんなに盛大に祝ってくれるとは、はっきり言って想像していなかった。
でも。
「……サンキュ」
すげー嬉しい。
今日が厄日だなんて、嘘だな。
白銀の狩人様の壮絶に報われない華麗なる一日
タイトル生かせてない気がします……
でも、楽しかった。