騎士たちの集会所(Knight 短編小説)

□Knight ― 純白の堕天使 ― お題小説(お題提供:あにょ様)
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(Knight本編のフィアの初任務の前のお話です)






― 影猫 本部 ―




「御主人(マスター)!お呼びですか?」

ふわふわとした癖っ毛の黒髪の少年が、彼らのトップ……フォルのいる部屋に飛び込んだ。

「あぁ、ロシャ。よく来たね……前に、話したことを覚えているかな?」

「前に……?」

きょとんとするロシャ。

その前に、フォルは一枚の写真を出した。

「あぁ、ご主人にそっくりな天使のこと」

ようやく思い出したらしく、ロシャはこくこくと頷いた。

フォルはその様子を見て、笑う。

「そう。この子のことだ……今度、この子が騎士としてはじめて貴族護衛の任務につくらしい」

「へぇ……それで?」

口角を上げるロシャ。

フォルは、ロシャにいった。

「この子が、護衛を勤める女性を攻撃して欲しい」

「え?」

わけがわからない、という顔をするロシャ。

「せっかくだから、本人を狙えばいいのでは?」

ロシャの申し出に、フォルはゆっくりと首をふった。

楽しそうに笑いながら、いう。

「面白くないだろ?それじゃ。

 それに……どうせ彼は、その女性を庇うよ」



―― 偽善者の天使なのだから。



「……御主人?」

フォルの瞳が憎悪に燃える。

写真に写る、同じ色彩の少年……フィアの写真を、いとおしげに撫でてから、握りつぶした。

その様子をみて、ロシャは一瞬怯んだ顔をした。

フォルは美しい笑みを浮かべて、いった。

「僕はね……偽善者が大嫌いだ。天使はもっと嫌い。

 だから……苦しませて、苦しませて、苦しませた末に、服従させて見せる」

「……なるほど」

フォルの瞳に宿る憎悪。

それに同調するように、ロシャは楽しそうに笑った。

フォルはその頭をそっと撫でる。

「……いって、くれるね?」

「もちろん。ご主人の命ならば」

くすり、と笑って、小さな少年は、大きな鎌を担いで、走りだす。

「ノアールー!銃かして、銃!!遠距離から攻撃してみたい!」

そういってはしゃいでいるロシャをみて、フォルは笑った。



―― 扱いやすい、駒だ。



自らに忠実に動く、操り人形(マリオネット)。

フォルほどの魔力があれば、それを作りだすくらい、造作ないことだった。

そして、生み出した四つの操り人形。





兄に見捨てられたと思い込み、絶望から生まれたロシャ。

誰にも愛されないという孤独から生まれたブラン。

この世の理不尽に対する憎悪から生まれたシャム。

自分に存在価値を見出せないという、虚無から生まれたペル。



そして、その操り人形を操る人形師、ノアール。





これが、影猫の中心メンバー。





「この駒で、必ず僕は……」



―― 僕を拒んだ世界を、服従させて見せる。


堕天した自分を戒めに、殺そうとした両親を殺し、

妹を孤独の中に置くために、妹の育ての親も竜に殺させた。



その、フォルという名の悪魔はまさしく。




純粋に悪意(許すものか)



一番最初がこのダークさ(汗)

一度ちゃんと書きたかった敵サイド。

四人(ロシャ、ブラン、ペル、シャム)はそれぞれこの文章中に描かれた感情にとらわれていた魂。

彼らの過去も、いつか書いてあげたいかもしれない。



 
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