騎士たちの集会所(Knight 短編小説)

□黒×白 ― 貴方に永久の忠誠を… ―
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僕は、ずっとずっと、貴方だけを思っているんです。

あの日、あの時、僕のことを拾ってくれた。

僕に、貴方と対になる名前を与えてくれた。

あの日、あの日……僕に、生きる理由(いみ)をくれた。

そんなあなたに、ずっと、ずっと……



黒×白 ― 貴方に永久の忠誠を… ―





悪魔族の魔力を持つ者たちが集う組織……影猫のある機関でのこと。


―― コイツハ、失敗ダ……


小さな声が聞こえる中、その操り人形(マリオネット)は目を覚ました。



―― 操り人形。


それは、死者の魂に偽りの肉体を与えたもの……

意志を持ち、自由に動くことができる。

御主人(マスター)の指令を忠実に効く、まさしく都合の良い操り人形……



その操り人形は、合成に失敗した。

普通、操り人形は人並み外れた魔力を、身体能力を持つことができる。

しかし、失敗した場合、そのどちらか、あるいは両方が損なわれる。



"彼"の場合、著しく身体能力が低かった。

きっと、重い武器を扱うことはできない。

小柄だから、すばしこくはあるかもしれないが、持久力もないだろう。



―― 出来損ナイハ、処分シナクテハ。


同じく"操り人形"の研究者は言う。

"出来損ない"だと。


―― ……そうだね。残念だけど。


"残念"と言っているのは、彼が"御主人"と呼び、慕うべき人物となる人……フォル。





"心"を持った魂は、怯えた。

あぁ、自分は消されてしまうのか。

せっかくもう一度、この世界に"生きる"ことを許されたと思ったのに。

でない涙を流して。

怯えた。

消されてしまうことに。

なかったことにされてしまうことに。




しかし、その時。

「御主人(マスター)……ちょっと待ってくれませんか……?」

突如研究室に響いた声。

ドアの前に立っていたのは、黒いスーツの男。

「……ノアール」

フォルは驚いた顔をして、声をかけてきた人物を見た。

「どうしたの?」

「そいつ……俺に譲っていただけませんか……?」

「え?でも、こいつは……」

「"失敗作"なのでしょう?それでもかまいません。こいつは……」



―― 使える。



スーツの男性……ノアールは、言った。

そして、"失敗作"の前に立ち、言う。

「……俺と、来るか」

「……!はい!」



―― それが、ノアールと"彼"……ブランの、出会いだった。


 
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