鏈の愛音

□敬語と身長
3ページ/5ページ

「…で,何勝手に女の居る部屋に入って来てるんですか全く…。」

「ご…ごめんねレナ。あの…その…」

「鍵開いてたからお互い様だろ。」

「…。」



エドの言葉に隣のアルも頷く。

…私はバカなんだろうか。
鍵をかけ忘れるなんて…ああ、もう最悪。

と,内心落胆するレナだが,すぐに気を取り直す。



「…で何用なんですか?」



鋭い視線で2人を見据えたレナは返事を待ちながら静かに立ち
…薄暗い部屋の壁から電気のスイッチ探り,部屋に明るさを入れる。



「「(あ、話逸らした…。)」」



と思うものの2人とも声には出さず(笑



「あ…えっと実は,次に行く所について話そうと思って…ね。兄さん。」

「ああ。やっぱレナとも話しながら決めた方がいいと思ってな。」

「なるほど…で,検討はあるのですか?」

「あぁそれならー…。…。…。」



それなら…その先を言うのを止めたエドを不思議そうに見るレナ。



「?」

「っ〜だああああっ!!んでお前敬語なんだよ!!オレと同い年んだろ?敬語外せよ!!」



金髪の輝く頭をを掻きむしり勢いに任せて機械鎧の指をレナに向ける。
…肩が上下しているのはたぶん,興奮し過ぎの所為。



「なんでいきなりそうなるんですか…意味不明です。」

「固ッ苦しいの,やなんだよ。」

「だからって…」

「な?いいだろ?」



そんなエドの様子にレナは仕方ないと言うように肩を竦めた。

少し離れた所で「この2人のやり取り面白いなぁ。」なんて思わず呟いたアル。
…幸い2人の耳に届いてはいないようだが。



「…分かりま…分かった………です。」

「お前…ソレ,敬語抜けてないって。」


語尾に小さく「です」が付いてしまったレナを苦笑しながら早速指摘。

言われた当の本人は怒っているのか照れくさいのか,ほんのりと頬を赤くする。



「し…仕方ないんです!!慣れて無いんだか…ら…っ…努力はするけど…。」

「変な奴だなお前。」

「アンタに言われたく無い。」

「あとさ、名前で呼べって。エドでいいから。」



全く…なんでまたいきなり敬語を外すなんて…。

…コイツと居ると,なんか調子狂います。
話,噛合ってないし。

というか今度は名で呼べと?



またも溜息をつくレナ。
嗚呼,今日で一体何回溜息を吐いたのだろう─…?


そう考えれば自然とまた溜息も出る。
…悪循環ですね。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ