稲妻

□見せたい世界
1ページ/2ページ



俺は鬼道が何故サッカーをしないかが気になった。
最初は「高い所が苦手なんだ」とか本人が言うから、ああそうなのか、と思っていたけど最近の鬼道を見ていたら違うように思えた。

先週も鬼道は俺たちの整備をしてくれていた。

その時たまたまだけど鬼道が練習を横目で眺めていたのをみた。

気のせいかもしれないけど、その時の鬼道の顔が整備しているときよりも数倍、数十倍も楽しそうに見えた。



「きーどーうー」

「どうした、円堂。整備なら終わったぞ」

「そうじゃなくって、あのさ」

「なんだ?」

「…鬼道はサッカーやらないのか?」

「俺は高いところが苦手なんだ。だからやらないんだ」


…あ。
今どこか寂しそうな顔したのは何故だろうか。
気のせいではないと思う。

飛べない理由が知りたい
鬼道が嘘をつく理由が知りたい

そう、思った。


「鬼道」

「どうした、まだ用か?」

「練習終わったら暇?」

「だと思う」

「じゃあさ、ちょっと付き合ってくれ!見せたいものがあるんだ!」


きょとん、とする鬼道。
その様子を見ていたら曾祖父ちゃんたちの時代でいう黒板消しを仕掛けて誰かが引っ掛かるのを待つくらいのドキドキ感に襲われた。


「ああ、分かった」

「約束な!」



そういうと無理矢理鬼道に指切りをさせ、練習に戻った。


 
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ