詩
□私の中の音
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懐かしい曲を聴いた。
そのたびに高鳴る、あの時と同じ気持ち。
急に泣きたくなった。
もうあの人達と鳴らす事は出来ないこの音楽。
機械から出てくる懐かしい音の数々は、私の胸に響き続ける。
「戻りたいの?」
誰かが言った言葉を否定する。
「ううん、私は…」
そこまで言って、もう口を開かない。
メロディが流れていて、目を閉じた。
思い浮かぶのは、決して素晴らしいとは言えなかったあの音楽。
鳴らした音はすぐに消えてしまったし、思いだしたくもない思い出はたくさんある。
でも、踏み出した道に悔いはない。
あの人も進んでいた。
少し大人びたあの人を、私はいつまでも感謝してる。
ありがとう、私にやらせてくれて。
ありがとう、ありがとう、ありがとう…
→アトガキ