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□ご褒美
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ぷふぃひーーーー…と、気の抜けた笛の音。

「はーい。ちょいと止まって止まってェ」

笛を口に銜えたまま、通行人やら自転車やら車やら巨大な犬やらを止めているのは、金髪の男。

「悪ィねェ。最近ここらでテロが頻発してるんでさァ。ちょいと、その手荷物検めさせて貰いますぜィ」

そう、大して悪いとは思ってない顔で言い放つと、無遠慮に荷物を漁る。通行人の男が、何をするんだと当たり前の言い分を口に出そうとするが、それは言葉までにはならなかった。


なぜなら、その金髪の男が身につけている黒服が目に入ったからだ。

江戸に住まう者なら、誰でも避けて通る、言ってみればまずお世話にはなりたくない、「武装警察真選組」の。

唖然としている間に、金髪は「全部漁るのは面倒でさァ」などと言い出し、カバンを往来にひっくり返すと、ばさァァっと、音を立てて中身が道端に散らばった。

「え…ちょっっ…何してんのォォォ!?」

流石に男が驚いて声を上げる。
昼ごはん用のコンビニおにぎりやお茶パックや財布や手帳に紛れて、やけに一目を引くど派手なピンク色の雑誌が真昼間の往来に晒された。

遠巻きにそれを見ていた通りがかりの女の子たちが、それを見て「やだァ」とか言い合いながら、男をちらちらと見咎める。
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