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□雨に咲く。
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最近、新八は酷く機嫌が悪かった。

その日の朝も、いつもの時間に万事屋に着くなり、ソファで寝たままの銀時を押しのけて強引に掃除をし始めた。

昨晩も飲み明かして帰ってきた銀時が、酒も抜け切らぬ状態で、だらだらと文句を言い始めたのを、

「煩い」

の一言で一蹴して、蹴り起こす。

いつまでもだらしの無いこのダメ男に、日々の鬱憤を溜めに溜めて新八が爆発することは、よくある。
しかし今日はどうもこの男が、新八の機嫌を損ねた直接の原因ではないらしい。

珍しく定春と共に早起きしていた神楽が、いつものように空腹を訴えると、てきぱきと手際よく、簡単なサンドイッチをこさえて目の前に置かれた。
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