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□honey taste
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ドドンっと、効果音までつきそうな存在感を示す大瓶。
机の上のそれを見やって、新八はため息をついた。
透明なガラス製の大瓶には、滑らかな黄金色の液体が詰まっている。
「こんな大量の蜂蜜どうしろっつーんだよ、まったく。」
目の前の蜂蜜相手に悪態をつきつつも、これを代金とは別のお礼に、と持ってきた人の良い依頼人の顔を思い浮かべる。
コレ自体、本来なら決して貰って困るような代物じゃないだけに、一息に迷惑とは言えず、何ともいえない微妙な気分だ。
保存は利くし、料理の時に砂糖代わりにも使えるし、やはり常に金銭的な理由で台所事情が厳しいこの家にとってみれば、重要な調味料として、重宝されるべきもので。
だが、
あの三度の飯よりも甘いもの好きな、糖尿持ちの上司に、もしコレが見つかったら…と思うと、どういうことになるか…。
「…しかも…よりによってこの時期かよ……」
新八は、机の上に突っ伏して、その蜂蜜色の液体を眺める。