◇Wonderland dyed red

□Chapter‐5
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「アリス…」


そこから現れたのは
ペーターで。


「離さないって
言ったでしょう…?」


そう呟いて
ゆらゆらと近づいて来る。

逃げなければいけない
と、思うものの
彼が身に纏う狂気に
足がすくんで動けない。

やがて
目の前に辿り着くと。


「愛しています…アリス。
あなたは
誰にも渡さない」


アリスの手首を掴み
ペーターは微笑んだ。


「あなたが…愛してるのは…
私じゃないアリスでしょ…?」


アリスが震える声で
なるべく刺激しないように
核心に触れる。


「…そうですね」

「だったら…ッ!」


ペーターが
アリスの腕を
痛いほど掴み上げて。


「でも
あの人はもういないんです。
手の届かない世界へ
帰ってしまった。
違う人を愛するのは
罪ですか?」


返事を待たずに
アリスの唇に
自分のそれを重ねた。

 

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