◇Wonderland dyed red

□Chapter‐1
1ページ/8ページ

 

「おい、あんた
俺の話を聞いてるのか?」

「え?あ、うん」


もちろん
聞いていない。

先ほどから
私の目は
ある一点に釘付けだ。

それは
この男の頭に生えている
ウサギ耳。


ブラッドに案内され
庭の広さに驚きながら
この場所まで来た訳だが。


このウサ男さん
(名前聞いたが忘れた)
によって
それまでの驚きなど
どこかへ吹き飛んだ。


「だから〜
あんたが来る少し前にも余所者がいてだな
そいつもアリスって名前だったんだぜ」


先ほども口にした言葉を
再び口にする煩わしさからか
ウサ耳がピョコピョコと動いて。

それを目で追い
呆けているアリスの代わりに
ブラッドが口を開く。


「まぁ、このお嬢さんの
本当の名前は違うだろうがね」


アリスはその言葉に
視線をウサ耳からブラッドへ移す。

視線を向けられた当人は
読みが当たっていた事を確信し。


「…だろう?
だが、名前など
大した問題ではない。

問題は
面白いか否か、だ」


アリスに向けて
ニヤリと笑った。

 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ