上琴小説「長編」


□五章 御坂の想い
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買い物は一時間程度で終わった。
結構な量を買ったものである。

御坂「ちょっと買いすぎたかしら?」

初春「いや、余ったら私が食べます!!」

白井「初春、これは上条さんにあげるものですわよ」

佐天「まあいいじゃないですか。少しくらいなら。それより、早く病院に行きましょう」

白井「そうですわね。」

御坂「(待っててね、当麻・・・)」



それから20分ほどで病院についた。
当麻の部屋の番号を聞くと、急いで御坂は当麻の部屋に向かった。

当麻の部屋は三階にあった。

御坂「ここか・・・」

初春「さあ、入りましょう!」

御坂「うぅ、緊張する・・」

佐天「大丈夫ですって!ほら早く」

御坂「う、うん」

御坂はやはり心配だった。
当麻の傷のこともあるが、今朝の夢のことである。
もし当麻にあんなことを言われたらと想像するだけで当麻に会うのがつらくなった。

御坂「(逃げちゃだめだ!逃げちゃだめだ!)」

御坂(ちゃんとアイツに謝って、そして、私の思いを伝えなきゃ・・・)」

御坂は覚悟を決め、ドアを開けた。

御坂「と、当麻?いる?」


そこにはベッドで寝ている当麻の姿があった。
顔色は悪くない。
どうやら命に別状はないようだ。

初春「寝ているみたいですね」

佐天「起こしちゃ悪いし、出直しますか」

初春「でも、御坂さんはそばにいてあげてください」

御坂「え?」

突然の初春の言葉に御坂は戸惑う。

佐天「上条さん、きっと御坂さんがいてくれたほうが喜びますよ」

御坂「な、なんで私がいると、あ、アイツが喜ぶのよ・・・」

佐天「御坂さんってば〜私達知ってるんですよ〜」

佐天はニヤニヤしながら御坂を肘で小突く。

佐天「御坂さん、上条さんのこと好きって事」

御坂「な、なに言ってるのよ・・わ、私は、べ、別にあ、アイツの、こ、ことなんか、す、好きじゃ・・」

初春「御坂さん、顔真っ赤ですよ。御坂さんもそろそろ自分の気持ちに気づいてください」

初春の言うとおり、御坂の顔はさっきとは比べられないほど赤くなっており、初春に言われるまでもなかった。

初春「自分でももう分かっているんじゃないですか?」

御坂「・・・・・」

初春「上条さんが言ってましたよ。アイツに自分の気持ちを言えなかったことが生きてきて一番後悔したことだったって。
たぶん上条さんも御坂さんのことが好きなんです」

初春は過去に当麻が自分に打ち明けてくれた本音を御坂に伝えた。

そうすれば御坂が素直になってくれると思ったからだ。

初春「御坂さんが言いたいことって告白のことじゃないですか?
でも上条さんはけがをしてしまった。自分のせいで」

初春はなおも言葉を続ける。それほどまでに初春は、いや、みんなは御坂に素直になり当麻に自分の気持ちを伝えてほしかったのである。

初春「だから河原で自分の気持ちを伝えられなかった。
だから、ここで上条さんより先に自分の気持ちを伝えてください。
私達はもう帰りますから、明日結果を聞かせてくださいね。わかりましたか?」

御坂「うん!私、もう素直になる。アイツに気持ちを伝えるわ。ありがとね、初春さん」

初春「どういたしまして。ではこれで」

そう言うと初春達は病室から出て行った。


御坂「当麻、起きてる?」

当麻「・・・・・・」

御坂「まだ寝てるのかしら」

御坂は当麻の顔に手を触れた。

御坂「フフ、当麻、気持ちよさそう」

御坂「ねえ、当麻、私達が初めて会ったのっていつだったっけ?」

御坂「確か夏だったわよね。あの時も私は当麻に電撃の槍を放ったわよね。
そして、初めて当麻とちゃんと勝負したとき、砂鉄の剣や電撃を使ったよね。

それから、会うたびに勝負を挑んで、電撃を放って・・・・
そして今回はとうとう当麻にケガを・・・
・・・ごめんね、当麻。本当にごめんね。

謝っても許してもらえないかもしれないけど、私には謝ることしかできないから。

ごめんね・・・・当麻」

涙が出てきて、当麻の顔にこぼれた。

御坂は当麻の顔にもう一度触れ、自分の涙を拭き取ると、自分の、当麻に抱く特別な思いを伝えた。

御坂「それとね、私は、アンタのことが・・・大好きだったのよ。
私、昔から素直になれなくて、ほんとは勝負もあんまりしたくなかったのよね。

でもアンタの前だと緊張してしまって。
いつも勝負してたの。
でも、今はホントの気持ちを言うわ。

でも、当麻は今寝ているから言っても意味ないわよね。

これはリハーサル。
当麻が起きたら、もう一度言うね」

緊張がほぐれ疲れたのか、御坂は猛烈に眠たくなってきた。

御坂「なんだか私も眠くなってきたわ。少し寝ようかな。お休み、当麻・・・」

当麻に思いを伝えるための、リハーサルを終えた御坂は眠りについた。
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