上琴小説「長編」


□三章 現在と過去 二つの世界
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三章
2012年12月24日 現在

当麻は二年前のあの事故のことを思い出していた。

そう、今完全に思い出した。

御坂はあの日に死んだのだ。

あれから二年の月日が流れた。

自分は強くなっただろうか?

だが、力は強くなっても、頭のほうはちっとも強くなっていない当麻であった。

当麻が思い出しているうちに時間が結構たっていた。
バイトに急いで行かないといけない。

当麻「やっべ、急がねえと」

当麻が急ごうと走り出した時である。

突然ケータイのバイブが鳴った。

当麻「ん?誰だ?上条さんは今忙しいんですよ」

そう言いつつケータイを見る。

そして、当麻はケータイの着信名を見て驚愕することになる。

当麻「どーいうことだ?」

当麻「なんでこいつの名前が出てるんだ?」

それはなんと、死んだはずの御坂からの電話だった。

当麻は夢だと思った。
それは当たり前だ。
死んだ人間が電話をかけてくるはずがない。


確かに当麻は御坂のアドレスを残していたが、
御坂のケータイは御坂の両親が持っており、
当麻は両親のアドレスを持っている。

両親が当麻に電話するなら、御坂のアドレスは使わないはずだ。

しかし、このままほおっておくわけにはいかない。
当麻は電話に出ることにした。

当麻「も、もしもし」


御坂「あ、もしもし、アンタ?」

電話の相手は聞き慣れた相手だった。

御坂「来週の金曜日の買い物の話なんだけどさ、
駅前に何時に集合する?」

御坂「わ、私は朝からがいいんだけど、九時からじゃだめ、かな?」

御坂「べ、別にアンタが昼からがいいって言うんなら昼でもいいんだけど・・・どう?」

その声はまさしく御坂であった。
当麻は戸惑いつつも質問した。

当麻「御坂!お前は御坂美琴なのか!?」

御坂「な、なによ、当たり前じゃない」

御坂「なんでそんなに驚いてんのよ」

当麻「御坂、大事な話がある。よく聞いてくれ」

御坂「え、ちょっと、だ、大事な話って・・・・」
御坂「(もしかして告白?)」

御坂「な、なに、早く言いなさいよ」

当麻「じゃあ、言うぞ」

当麻は深呼吸して、静かに言った。

当麻「今は、何年の何月だ?」

御坂「はい?」

御坂はワケが分からず変な応答をしてしまう。
思わず当麻の声が大きくなった。

当麻「何年の何月だ!」

御坂「2010年の12月だけど・・・・」

御坂「どうしたのよアンタ」

御坂じゃなくても普通の人なら当麻のことを変に思うだろう。

御坂「さっきから変よ」

当麻「そういうことか・・・」


どうやら、今当麻と話しているのは過去の御坂みたいだ。
何でかは知らないが、現在と過去が電話を通して繋がってしまったらしい。

御坂「ちょっと、なにを一人で納得してんのよ!」
当麻「御坂・・今から言う話を信じてくれるか?」
御坂「え?まあ、程度によるけど」

御坂「何?」

当麻「今話している上条当麻は御坂の世界の上条当麻じゃない!」

当麻「俺は二年先の未来の上条当麻なんだ!」

御坂「は?何いってんのよアンタ」

御坂「そんなの信じられるわけないじゃない」

確かに信じるのはちょっと無理があった。

御坂「頭でも打ったの?大丈夫?」

御坂は少し本気で当麻を心配する。

冗談ではなくなってきた気がするからだ。

当麻「俺は本気だ!!それより御坂、買い物・・の時・・・きお・・つ・・・・なんだ・・の・・いずが・・」

プツッ!
そこで電話が切れてしまった。
どうやら、過去との電話はノイズが酷くなるみたいだ。

御坂「なんなのよ、アイツ・・・」

御坂「まあ、いっか。また電話しよ」

御坂「未来のアイツか・・・」

御坂「そ、そんなのあるわけないわよね」

御坂「映画じゃあるまいし」

御坂「そうだ、明日アイツに聞いてみて本当かどうかはっきりさせてやるわ」

御坂「嘘だったら黒こげにしてやるわよ!」

その時、もうすぐ完全下校時刻になるところだった。

御坂「そろそろ帰らないと・・・」

特にこれといった用事が無いので、
御坂は寮に戻るのだった。



現在

当麻「くそっ!切れやがった!あいつに伝えないといけないのに」

当麻「こっちからかけられるか?」

確かに着信履歴は残っていた。

当麻は電話をかけてみた。
だが電話は通じない。

当麻「だめか」

当麻「御坂、もういちど電話してくれ!」

当麻「とにかく、今は御坂からの電話を待つしかないか」

当麻「明日このことを白井たちに話さないとな」

当麻「御坂、今度は俺が・・・」

当麻「お前を救ってみせる!」

当麻は御坂を救うと決意したのだった。

だが、一つ忘れてるものがある。

当麻「バイトに遅刻する〜〜〜」


その日当麻はさんざん叱られた。
だが、そんなことは苦にならなかった。
御坂を助けることができるかもしれないからである。

バイトが終わると、当麻は明日に備えて早めに就寝した。
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