上琴小説「長編」


□「そういえば、もうすぐ御坂の命日だったな。」
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プロローグ


地球が氷河期に入ったんじゃないかと思うほど寒い朝だった。

服を重ね着しても寒い。

とはいえ寒いのも当然で、それは今が冬だからだ。

窓を見てみると、雪も降っていた。


上条当麻は、なんとか進級し、高校生活最後の冬休みを満喫していた。

とは言っても、二学期のテストの点が悪かったので、補習を受けなければならないのだが。

当麻「そろそろ行くか」
寮のドアの鍵を閉め、当麻は学校に出発した。

ここは学園都市。
人口の大半を学生で占めていて、科学技術によって、能力開発を行っている。

能力とは、簡単に言えば超能力のことである。

能力には、レベルが0から5まであり、レベル5は学園都市には七人しかまだいない。

そんな中、当麻のレベルは0である。

当麻「レベル0の上条さんにスプーン曲げをやれっていうのが無理な話ですよ・・・・」

そんなことを言いながら歩いていると、いつのまにか隣に女の子が歩いていた。

当麻「おーす。白井。久しぶりだな」

白井「お久しぶりですわね、上条さん」

当麻「どうした白井?一人で。まさかおまえも補習か?」

白井「何をおっしゃいますの上条さん。私はこれでもレベル4、テレポートの使い手ですのよ」

白井「補習だなんてありえませんわ」

白井「ただ近くのコンビニに行くだけですの」

当麻「はは・・そーだよな。こいつが補習だなんてありえないよな」


白井黒子は、名門の常盤台中学の生徒である。

生徒は最低でもレベル3というエリート校であり、白井はその中のレベル4なのだ。

白井「上条さん、さっきぼやいておられましたがどうなさって?」

当麻「いや、補習があってだるいなぁって・・・・」

当麻は今の状況を簡単に説明してやる。

白井「そんなことですの?
補習ぐらいで済むならいいじゃないですの」

当麻「そりゃあそうだけど・・・・」

白井「そんなことで文句を言ってたら、死んだお姉様に怒られますわよ」

当麻「はは・・それは勘弁してくれ・・・ってうわっ!?」

落ちていた空き缶を踏んづけ、思い切り転んでしまう。

白井「だ、大丈夫ですの!?」

当麻「痛てて・・・・まぁ、慣れてますから・・・」

当麻は悲しいことを言う。慣れてほしくないものだ。白井は苦笑しながら思った。

白井「あ、それより上条さん、お姉様の命日が近いですわ」

当麻「おお〜そういえばそうだったな」

白井「みんなで、お姉様のお墓参りの予定を明日立てますから、忘れずに明日ファミレスに来てくださいな」

当麻「ああ、わかった。またメールする」

白井「では、私はこれで失礼しますわ」
ヒュン

そう言って白井はテレポートして去っていった。


当麻「そういえば、もうすぐ御坂の命日だったな。」

当麻「・・・・すっかり忘れてたな」

当麻「いや、思い出したくなかったのかもな」
当麻「御坂・・・・・」

当麻「そういえば、あの日もこんな雪の降る日だったな」


クリスマス前なので、いつのまにか周りには学生のカップルが結構いた。

当麻は、ふとあの日のことを思い出していた。


2010年12月24日

そう、あの日
御坂美琴は死んだ。
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