上琴小説「長編」


□四章 運命の日再び 御坂との再会
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翌朝当麻は寝坊してしまった。

今日もは8時30分ぐらいにファミレスに集合しなければならない。

だが、今は8時20分である。

当麻「時計の電池が切れるなんて・・・不幸だ・・・」

ここにきて電池が切れる。

つくずく自分は不幸だな。改めて再認識する。

当麻「急がないと」

当麻は急いで着替え、出かける準備をした。

もちろん朝食は食べてない。

今日は雪は降っていない。

そこまで寒くはなさそうだ。



ファミレスに着いたときにはもうみんな来ていた。

まあ当然だが。

白井「上条さん、また最後ですわよ。どうしたんですの?」

白井が少しあきれて当麻に聞いてきた。

だが今回は仕方がない。時計の電池が切れるシチュエーションなど当麻しか出せないだろう。

だが遅れたのは事実なので当麻は素直に謝る。

当麻「わりぃ、寝坊した」

ホントは当麻が自分自身で起きられるようになればいいのだが、なかなかそれができない。

白井「あの時と同じですわよ」

御坂の死んだ日と全く同じシチュエーションだ。

当麻「確かに・・・」

当麻は2年前のことを思い出した。

当麻「あんときは御坂、すげー怒ってたな」

当麻「それよりみんな、今から御坂に電話するぞ」

初春「とうとうこの時が来たんですね。」

佐天「緊張しますね。」

当麻「もしかしたらつながらないかもしれない。でもみんな、そこは許してくれ」

初春「上条さんは悪くないですよ。それに、私は御坂さんのことを信じてますから」

当麻「分かった・・じゃあするぞ」


そういい、当麻は電話をかけた。

実際には1分ぐらいしか待ってないだろう。
だが、当麻にはそれが一時間待っているように感じられた。


御坂「もしもし」

当麻「御坂・・なのか?」

電話がつながった。だが一応確認をとってみる。

自然と体が緊張した。自分の心臓の鼓動がはっきりと分かった。

御坂「そうよ。どうしたのよ、そんな緊迫した声だして」



当麻「御坂、今からファミレスに来れるか?」

御坂「ええ、来れるわよ。どうしたの?」

御坂はとっても不思議そうだ。

当麻「話したいことがある。じゃあ切るぞ」

御坂「あ、ちょ、ちょっと・・・」

話したいことが話せたので当麻は安心して電話を切ってしまった。

白井「どうでしたの上条さん」

当麻「様子がおかしい。現在の御坂ってことは分かるが、何もなかったような様子だった。」

それは御坂の様子から分かった。

普通なら死んでいた自分が生きているのを驚くだろう。

ホントに昨日も普通に会っておしゃべりしたみたいだった。

当麻「もしかして過去を変えたから忘れてしまったのかもな」

こういうのをタイムパラドックスというらしい。

過去を変えると今もかわってしまうという。

当麻は昔こういうSF小説を読んだことがあったので、ふとそう考えた。

初春「とにかく、御坂さんが来たら分かりますよ。あ、来ましたよ!」

御坂がファミレスに来た。
どうやらすぐ近くにいたらしい。

確かに御坂であるが、本当に何もなかったような様子である。

御坂「みんなどうしたの?朝からファミレスに集まって」


白井「お、お姉様〜〜〜」

黒子は我慢できずに御坂に抱きついた。

御坂「ちょっと、黒子やめてよ。てゆうか何で泣いてるのよ」

白井「う、だって、お姉様は・・・う、うわーん」

御坂「アンタ、どういうことか説明してよ」

白井を慰めつつ御坂は現状の説明を当麻に求める。

当麻「説明も何も、お前覚えてないのか?」

御坂「覚えてるって、何かあったの?」

どうやら御坂は覚えていないみたいだ。

当麻「そうか・・・覚えてないか・・・」

ちょっと残念に思った。でも御坂が助かってなによりだ。

当麻「でも、その方がいいのかもしれないな」

そう言いつつも当麻は悲しそうだった。
御坂といろいろ話がしたかったからだ。
そんなことを考えているうちに涙があふれてきた。

当麻「あれ、なんで涙が・・・」

当麻が涙をぬぐおうとしたその時である。

御坂「なーんてね。覚えてるわよ。
全部、死んだことも、アンタに助けてもらって今ここにいることも」

御坂の言葉にみんな一瞬ワケが分からなくなる。

御坂「冗談よ。初春さん、佐天さん、黒子・・・・心配かけてごめんね。
そしてありがとう」



白井「お姉様〜〜」

当麻「本当に覚えてるのか?」

御坂「だ・か・ら覚えてるって言ってるでしょ。あ、アンタなに泣いてんのよ」

当麻「お前な〜〜」

御坂「悪かったわよ。でもアンタがあそこまでひっかかるなんてね〜」

御坂はとても楽しそうに話す。

イタズラに成功した子供のような感じだ。

御坂「何から話せばいいかしら。
とりあえず、みんな本当にありがとう」

佐天「いやいや、みんな上条さんのおかげですよ」

初春「なにより御坂さんが帰ってきてよかったです」

当麻は会話の間ずっと御坂を見つめていた。

あの目、あの髪、あの制服、やっぱり御坂だ。

当麻は懐かしく感じるとともに安心を心に感じていた。

やっと御坂が帰ってきたのだ。

今年一番のクリスマスプレゼントである。

そう思ったとき、御坂がこちらの視線に気づいた。

御坂「な、なによ・・こっちをジロジロ見て。い、言いたいことがあるなら言いなさいよ!」

当麻「あ、ああ。
御坂、ずっと言いたいことがあったんだ」

当麻は真剣な顔つきになり、まるで告白するような感じで言う。


御坂「ちょ、な、なによ。そ、そうだわ。勝負よ勝負!」

当麻「は?」

ワケが分からず当麻は聞き返す。

御坂「は?じゃないわよ。勝負よ勝負!
わ、私もアンタにいいたいことあったのよ。
あ、アンタが勝ったら私に言いたいことを言わせてあげるわよ。
私が勝ったら・・私が言いたかったことを言わせてもらうわ」

当麻「わかったよ」

当麻の顔は笑顔だった。

この言葉、いつ以来だろう。

とても懐かしい。
当麻は勝負を受けることにした。

御坂「な、なにニヤけてんのよ!」

御坂の体に電流が走る。

当麻「ばか!お前ここでやる気かよ」

店内で暴れられたらたまったものではない。

せめてどこか人気のない場所に移動するべきだ。

御坂「だから、河原に行くって言ってんでしょ!それをアンタがニヤけて・・・ああ、もう!さっさと行くわよ!」

御坂の顔がいつもよりまして赤くなった。

当麻「ん?」

河原に行くなんて言ったかなと、当麻は疑問に思うが触れないことにした。


初春「御坂さん相変わらずですね」

佐天「ですね!」

白井「私たちも行きましょう」


当麻達はファミレスを後にした。
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