短編

□古典的恋愛方式
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なぜ、なぜ俺の机の中に手紙が入ってる

いや、そこはおかしくないそういうことじゃなくて

男子校だし、ラブレターなんて届くわけない



が、届いた


しかもなんだこれ、『お慕ひ申し上げます』って
手紙の内容が全部古文で書かれている

もっもしや平安時代とかそんな歴史の教科書に載っちゃうような時代から手紙がワープしたりとかしたりしてぇぇえええ


平安時代の人は和歌を送ってたんだし

いや、ありえないありえないっ


・・・・あっそうか
俺の友達の妹とかお姉さんとか従姉妹とかそんな落ちだよな!




いや、待て
落ち着け
単純な話なのだ
これはいたずらだ

アホらしい


そう思った俺はビリビリにその手紙を破り捨て、スタスタ歩いて帰って行った



が、翌日
また入っていた
つぎはもう少し易しい言葉で書かれたラブレターが入っていた

「げ・・・」

またかよっ!

「なになにーきょうちゃん、どうした?」

「や、なんでもねーよ!ほらお前っ自分の席んとこ行けよ!」

あいかわらずこいつ(佐藤)はチャラい
とことんチャラい
深くは説明しないけど

なんだなんだーなんでこんな物がまた入ってるんだよ
しかもこの古文かぶれな内容で攻めてくるし
間に和歌を挟んでるのがまた風流・・・じゃない?
ってメモみたいに添えてるけどさ、俺あんまり掛け詞とか枕詞とかわからないんだぜ?ぜ?


よく読んでみると廁に来て下さい・・・だと・・・

いつだよ!せめて時間指定しろよ!行かんけど!
もしやそれわかっててわざと書いてんのか
お・・・俺だって廁の意味くらい知ってるわ!
トイレだろトイレ!余裕じゃこれくらい!
くそムカつく!

・・・ん?
何か机の上に紙が飛んできた
どれどれ・・・

―――――
京介、お前
貧乏揺すり
激しすぎて
気持ち悪い
引く
―――――

これを言う為にわざわざ大切なノートちぎって紙飛行機作ったのか
席、近いよね俺たち
お前、ななめ後ろだよな
てか無視しろよ

「プッ・・・」

・・・ん?
どこからか笑い声が・・

「こらっ高町、どこ向いてんだあぁ?先生の話聞けないのかぁ?あ?ありきたりなこと言うなって?言わしてんのはどこのどいつだぁ?あぁ?」

しぇんしぇ・・・
いつ時代のヤンキーですか
しかも不覚にも吹いてしまった
あっ、痛い
痛いです。先生。
頭をぐりぐりしないでください。


満面の笑みで頭をぐりぐりされていたら、授業終了のチャイムが鳴った

よっし!これで逃げれる!
逃げ足だけははチャイもんね☆

「・・・まぁ今回は許してやる。がっ、今度やったら・・・覚えてろよ・・じゃあ授業終わり」

よっしゃああああ
小林の野郎(先生)はねちっこくないからす き

・・・・う、ちょっと尿意が
トイレットイレッ


調子に乗った代償なのか、突然の尿意に襲われ、次は移動教室だったから生物の教科書、ノートなどを持ってトイレに向かった
汚いとか思った奴、お前らもやってんだろ
知ってんだぞ、俺

生物セットを鏡の前の棚みたいなところに置いてせっせと行こうとしたら突然誰かに腕を掴まれてトイレの個室に入れられた
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