Master key
□第1に忠誠の誓いを立てましょう。
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僕はそこそこ幸せな生活を送ってきたように思う。
なぜかと聞かれると答えにくが、この平和で穏やかな生活を送ってきた僕は幸せでなければ一体なんなのだろう。
芳田 林檎。
17歳、A型。
年齢=彼女無し。
これについては理由がある。
青春真っ盛りな僕は親の計らいで超有名男子校への進学を強く希望したからである。
決して僕がパッとしない顔だからという理由ではない。
おそらくそうであるが、ここは見栄を張っておく。
まさか受かりはしないだろうという甘い考えで受けたのだが、案外あっさり受かってしまい僕は中高をこの男子ばかりのむさ苦しい環境で過ごすことになったのだ。
この学校は特色が強く、文系・理系・スポーツ・芸術と4つの分野に分かれてクラスが編成されている。
順にハート・スペード・クローバー・ダイヤとよくわからない名称をつけられている。
ちなみに僕は文系。
つまりハート。
小学校の頃から読書が趣味で、親が英才教育だなんだと言って幼い時から英会話スクール的なものに通っていたおかげで文系の科目には滅法強い。
親には感謝の念でいっぱいだか、1つ言わせてもらうとこのDQNネームのことだ。
こんな林檎とかいう名前のおかげで就職できなかったらお前らのせいにするから覚悟しとけよ、と心の内に留まらせておいてやっている。
もっと普通な名前が良かった。
大輝とか、裕也とかかっこよすぎる。
そんなオレも高校へエスカレーター式で進学し、何の変化もない生活に満足していた。
そんなある日。
「…ここはどこなんだろうか」
本当にやっかい事ってのは突然やってくるものなんだと痛感した。
今朝、いつものように寮から学校へと登校していた時である。
少し調べたいことがあるからいつもは友人と行くところを今日は1人で図書室へ向かっていた。
すると、後ろから抑えられて数人に今は使われていない旧校舎へ連れてこられたのだ。
よくわからない覆面の野郎が、
「ここから今日中に出ないと退学」
と訳の分からないことを言い残されて現在に至る。
はぁ…噂には聞いていたけど、こりゃまじっぽい。
最近、もっぱら噂になっているのが『神隠し事件』である。
ガチの神隠しかというとそうではないらしい。
例えれば、神隠しのようだからという理由だ。
突然、生徒の数名の行方がわからなくなり翌日には退学になっているという噂である。
消息不明という訳ではなく、ただ単に退学へ追い込まれているというのが正しい。
僕の友人も1人被害にあったがその後きちんと連絡を取り合っている。
ただ、その時のことは話してくれないいのだが。
それにまさか当たるとはねぇ…。
まぁいじめられている奴とは限られてなく、ランダムに選ぶって感じだ。
それより…問題なのは誰1人としてこのダンジョンを攻略していないということである。