Master key

□プロローグ
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「あー、つまらないなぁ」

本当につまらない。
他の学生はもっと華やかな生活を楽しんでいるというのに、僕ときたら。
規制の中で生活しているから当たり前といえばそこまでなのだけれど。

「…確かにリヒは色々不自由だと思うけど、今は我慢だ」

「…今だけならこんなに退屈なんてしてない」

「…そういえば、あの件どうする?」

「誰か面白そうでかつ頭が悪くなさそうなやつならいいよ」

僕は部屋からグランドを見続けていた。
だってあの件に関してはさして興味がないからだ。

「俺はこの件あまりオススメできない。この役目なら俺だけで十分じゃないか。それにア…」

「うるさいな。それは口にしない約束でしょ?別にバレない。と、いうより口封じの策はとってある」

「とか言ってあまり興味もないくせに」

隣に居る色素の薄い男はため息をつきながら手に持つ書類に目を通した。

「…一応、リヒが気に入りそうな奴は見つけてきている」

「ふーん」

隣の男の言葉はすーっと流れていき消えていった。
そんなことより、校内でイチャつくなよー。
あ、あいつらできてたんだ。
キスしてる。

「林檎」

今まで興味がなかったが一瞬で興味がそそられた。
まるで電撃が走ったみたいな感じ。

「何?むいてくれるの?」

「…いや、名前だ」

「へぇ!僕の大好物の林檎が名前?そりゃ興味深い!名前だけ!」

林檎は僕の大好物。
幼い頃はむしろ食べなかった方なんだけど。

「ちなみにカエのお墨付きだ」

「へぇ!珍しいね。楓ちゃんが人を認めるなんて」

「…なんというか、こいつは結構個性が強いかもしれないけれどリヒなら大丈夫かなと」

「何それ〜、僕が迷惑こうむるならヤだよ」

目の前の男がバッと手に持つ紙を僕の目に突き出した。

「こいつだ」

「…もしかして」

「…そうかもしれない。ただ可能性は高い」

「フフ、早く言ってくれないと困るな。そりゃオッケーでしょ。あーこれから楽しみだな」

芳田 林檎君、か。
これから楽しみが増えるな〜。















あぁ、早く君を食べてしまいたい

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