novel 2

□CREAM SODA(R‐18)
1ページ/4ページ


「美咲ちゃん、お待ちかねよ」
バイトが終わり着替える私のもとに、笑顔のさつきさんが訪れる。
相変わらず萌えの花を背負うさつきさんは、ウキウキとした様子で私に話しかける。
「お願いがあるの」と…。

「お疲れ様。…すごい荷物だね、貸して…俺が持つよ」
いつものように私のバイトが終わるのを待っていた碓氷は、手に提げた紙袋を目敏く見つけると、優しい微笑みのままその手を差し出す。
「いや…これは、そんなに重くないし……」
ガサガサと音を立てて身体の後ろに隠そうとする私の手を留めると、うむを言わさずに荷物を奪い取る。
「重くなくても、彼女にそんな大荷物を持たせる訳にはいかないでしょ?」
ね、と軽くウインクをする碓氷は解けた指に自分の指を絡ませてつなぐと、更に言葉を続ける。
「それにコレ、さつきさんに頼まれたやつだよね?だったら俺にも関係あるんだし、持たせてよ」
「っ……知ってたのか…」
さつきさんには悪いが適当にお茶を濁そうと思っていた私の思惑は、碓氷の発した言葉によって脆くも潰える。
「さつきさんがね、“俺にも言っておかないと”って教えてくれた」
「−−−そうか……」
どんよりと曇る私とは対照的に、碓氷は軽やかな足取りで目的地へと歩を進めた。



−−これは…碓氷には絶対に見せられない……。
何故こんなにも…。
しっぽがついているから前と後ろを間違える筈がないし、そもそもこれが後ろでも大問題だ。

『ネコ耳Day用の衣装を新しくしたから、碓氷君の意見を聞いて欲しいんだけど……』
そう言って渡された衣装は、黒を基調に胸元はスクエアに大きく開き、ギャザーの寄せられたスカートのフロントには、深いスリットが入ってたっぷりのレースで飾られている。
確かに可愛いのかもしれないが、フロントのスリットが深すぎるのだ。
レースのおかげかギャザーのおかげか、直立していれば目立たないスリットも、足を動かせば内腿が顕わになり、ともすれば下着までもが晒されてしまう。
しかし、ドアの向こうでは碓氷が私の着替えが終わるのを待っている。

なんとかしなくては…。

焦る私は少しでもスリットを下ろそうと乱暴にスカートに手を掛けた。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ