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□TELEPHONE MURDER
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【TELEPHONE MURDER】



ようやく明日の予習が終わって一息つくと、見計らったように携帯が鳴る。
誰からかなんて、ディスプレイを見なくてもわかる。
こんな時間にかけてくるのは、一人しか居ないから。

『一日の最後は、鮎沢の声が聞きたい』

そう言った通りに、あいつは毎日欠かさずに電話をしてくる。
「もしもし」
何度目かのコールで電話に出た私の耳に、聞き慣れた甘やかな声が届けられる。
電話越しのあいつは、いつもの何倍も甘く、私に愛を囁く。
それがどんなに私を高ぶらせるか、知らない筈もないのに。

−−−悔しい。
あいつも、寝付けなくなって、困ればいいんだ。

「おやすみ、鮎沢。愛してるよ」
そう言って電話を切ろうとするあいつに、慌てて声をかける。

「待て、碓氷………その……−−−好きだ…ぞ、おやすみ」

言い終えて電源ごと電話を切った私の鼓動は、いつもより激しく脈打ち、今夜はいつも以上に眠りに付くまでに時間がかかるだろう事を告げる。

少しでも、あいつに意趣返しをする事ができただろうか……。
私はドキドキと高鳴る胸を押さえながら、ベッドに身体を横たえた。



end

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