novel
□SANE(R‐18)
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『お仕置きしてやるよ』
そう啖呵を切って、二人きりになれる場所−−つまり拓海の部屋−−に来たのだけれど、冷静に考えれば、今まで“お仕置き”をした事なんてなくて、どうしていいのか全くわからない。
そんな私の心の中を見透かしたように、面白そうに私を眺めながらソファに座る拓海に、“お仕置き”なんて、本当にできるのか、不安になってくる。
ニヤニヤと笑いながら私を見つめる拓海を睨みつけると、当の拓海は自分の座るソファの隣をポンポンと叩き、私に座るように促す。
「とりあえず、座って考えたら?」と。
いつまでも拓海の前に立ち続けている訳にもいかず、渋々ながら隣に腰を下ろす私とは対照的に、実に楽しそうに。
「今まで、美咲がされて一番嫌だったお仕置きを、俺にしてみる?」
相変わらずの笑みを浮かべ、隣に座る拓海がうそぶく。
『一番嫌だったお仕置き』……。
今まで私が拓海にお仕置きと称してされた事を、思い出すだけで顔が熱くなる。
『俺の目の前で、ゆっくり脱いで…あ、隠すのはナシだよ』
−−ダメだ。この程度の事が拓海のお仕置きになんて、なる筈がない。
それにそんな事を言おうものなら、絶対に面白がって、わざわざ見せつけるように脱がれて、私の方が恥ずかしい思いをさせられるに決まってる。
『お口でイカせて?もちろん手は使っちゃダメだよ』
……こんなの、拓海にとってお仕置きでも何でもない。
いつも、恥ずかしいから止めてくれと頼んでもなかなか止めてくれないのに、そんな風に言ったら、それこそ私が泣こうが喚こうが、最後まで止めてくれないだろう。
拓海へのお仕置きの筈なのに、これじゃあ私の方がお仕置きされてるみたいじゃないか……。
今や懐かしくもある形容詞がふつふつと沸き上がってくる。
−−この変態宇宙人め。