novel

□BRAN‐NEW LOVER(R‐18)
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どうしたらいい−−−。
俺の膝に頭を乗せて、とろりとした瞳で俺を見つめる彼女に、一時間程前の自分の行動を後悔するが、もう遅い。


二年参りの後、冷えた身体を温めようと淹れた紅茶に、ほんの少し入れたカルバドス。
甘いりんごの香りの紅茶を気に入った彼女の為に、二杯目には少しだけ多く入れたのがいけなかったのか……−−弱いにもホドがある…−−
“以前 叶が彼女にかけた催眠術のリプレイを見せられてるみたいだ”
苦笑する俺に、彼女は微笑んで囁いた。
『熱いの、碓氷…脱がせて』と…。

早く…、と俺の手を取り自分の首筋に押し当てる。
「熱くて、我慢できない」
濡れた唇からは甘い吐息が漏れ、俺の理性をグラグラと揺らす。
……なんの拷問だ。
リプレイなんかじゃない。
あの時よりも破壊力を増した彼女の甘えた眼差しに、頭が痛くなる。
「−−…碓氷…熱い、の…お願い…わかってるんだろ…?」
……犯罪だ。
こんな彼女は絶対に他人には見せられない。
彼女の可愛さに耐性のある俺でさえ、理性を保っているのが不思議な程蠱惑的な表情で、俺の心を揺さぶる。

ギリギリの所で欲望を押さえ込み彼女の頬に口付ける。
「これが限界。いい子だから、そんな顔で俺を見ないで」
不満げに見つめるその顔までじわじわと俺を追い詰める。
彼女が次に何を言うのかが怖い。
仕種ひとつで、眼差しひとつで、簡単に俺を狂わせる彼女にこれ以上抗う自信がない。

「碓氷のけち…」
彼女の誘惑に必死に耐える俺の左胸を指先でなぞりながら呟く。
ゾクリとする感覚に、飲み込まれそうになる。
「美咲ちゃん、何を…−」
「なあ、どうしてお前はいつもココに痕を付けるんだ?」
潤んだ瞳でそう聞かれてため息が漏れる。
「…どうしてって…おまじないみたいなモノだよ」
「おまじないって、何の?」

片手で俺のシャツのボタンを外して直接触れる指先は熱く、俺の熱と溶けて混ざり合う。
「−−鮎沢の、心臓も魂も、俺のモノ…」
素面の彼女であれば顔を真っ赤にして怒るような台詞も、とろりとした瞳の彼女は受け入れ、自ら俺の左胸に口付ける。
唇を当て舌先でペロリと舐めた後に僅かな痛みを俺に与える。
「これで、お揃い…。碓氷の心臓も魂も、私の…」
俺は目の眩むような幸福感に包まれながら、本能に従った。
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