novel

□極東より愛を込めて
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面白くない、面白くない、面白くない。
目の前で親しそうに喋る二人に、ムカムカする。

一人は、よく知る男。
高校生の頃から私のストーカーを名乗り、いつも付き纏い、そして いつの間にか、大切な存在になった、恋人。

もう一人は、知らない女の子…
多分拓海の大学の後輩なのだろう。
何がそんなに楽しいのか、よく笑う、私とはタイプの違う、可愛らしい 女の子。

彼女は私と二人で歩く拓海を見つけて、声をかけてきた。
『大学以外で先輩に会えるなんて、嬉しい』と
拓海の事が好きです、と言わんばかりの態度で。

そんな彼女に慣れた様子の拓海は、
『ああ…俺達はデートなんだけど、そっちは買い物?』と
私を紹介する。

“デート”と言う単語に少したじろいだように見える彼女は、私の事を不躾に上から下まで眺めた後、ふふん、と勝ち誇った笑いを私に向けた。

『この人が、先輩の彼女さんですかぁ?なんかちょっと、想像と違ったかも…』

私に対する態度とは違い、可愛らしい仕種で拓海に話し掛ける。
彼女に言われた言葉よりも、そんな彼女とにこやかに話す拓海に腹が立つ。
“せっかく久しぶりのデートなのに…”
“もう帰ってしまおうか…”

そんな考えが浮かび始めた頃、ようやく拓海が解放された。
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