novel

□Baby, I want you.(Rー18)
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夜が近付くにつれて彼女の態度はなんとなくおかしくなっていき、今や完全に挙動不審、と言っても過言ではないものとなっている。
「美咲ちゃん……いくらなんでも本気で傷付くんだけど…」

せっかく二人きりでいられる夜に、キスすらさせてくれない彼女に恨み言を言いたくなっても、おかしくはない、と思う。
自分から近くに寄ってくるくせに、俺が触ろうとすると怯えたような瞳を向けて身体を硬くする。

「無理に、とは考えてないから安心してよ」
避けられる理由がわからず、苦笑混じりに告げてみても、彼女の態度は変わらない。
可愛い彼女が隣にいるのに、手も足も出せない俺のため息に、彼女のため息が重なった。

「今日は俺、ソファで寝るから、美咲ちゃんベッドで寝なよ」
膠着した空気を変える為にした提案も、ふるふると頭を振って拒否される。

「一緒がいい……」
小さな小さな呟きが聞こえるも、いつものようには喜べない。
「そんな、俺に触られるのも嫌なのに、無理しなくてもいいよ」
俺だってごく普通の−−−と言えば語弊があるかもしれないが−−−高校生だ。
大好きな女の子が隣で寝てたら、理性なんて簡単に崩れ去るだろう。
嫌がる鮎沢を押さえ付けて無理矢理、なんて冗談じゃない。
そんな事にでもなったら、彼女は俺を許してはくれないだろう。

考えただけでゾッとする。

一時の欲望で、彼女を喪う訳にはいかない。

そんな決意もお構いなしに、彼女は俺の服の裾をギュッと掴み、上目遣いに俺を見上げ、恥ずかしそうに睫毛を震わせながら、もう一度、今度ははっきりと、
「碓氷と、一緒がいい」
と、その表情だけで俺の理性が飛びそうになる程、可愛くねだる。

「−−美咲ちゃん、俺の我慢にだって限界があるんだよ?一緒に寝たら俺、美咲ちゃんに何するかわかんないよ。それでもいいの?」
人の気も知らないで…そんな思いと共に口にした言葉に、彼女は真っ赤な顔をして頷いた。
「いいから、何してもいいから……」
その台詞に、ドクンと俺の心臓が脈打つ。
「…美咲ちゃん、自分が何言ってるか、わかってる?」
言質を取るように尋ねた俺の理性は、相変わらず真っ赤なままの彼女が紡いだ言葉に、砕かれた。
「わかってる。…碓氷の好きにしていいから……、一緒がいい」
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