novel

□BLOODY VALENTINE
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そろそろ終わる頃だろうか。
そんな風に考えドアを開けると、そこにはすっかり帰り支度を終えた彼女の姿があった。
「今日、早く終わったんだ…」
俺が声を掛けると彼女はふわりと微笑んだ。
「ああ、ついさっきな」
「またせてごめんね」
彼女は差し出した手をとりそのまま腕を絡め、顔を上に向けそっと目を閉じる。
まるでキスをねだるように。


ああ、これは夢だな。
自覚した瞬間に目が覚めた。
「残念……」
もう少し素直な鮎沢を見ていたかったのに。
俺は頬が緩むのを感じた。


「って、可愛かったなぁ美咲ちゃん」
俺は隣で盛大に眉間にしわを寄せている彼女にかまわず続ける。
「黙れ変態。勝手に私を夢に登場させるな」
げんなりと吐き捨てる彼女に苦笑する。
俺の部屋ではあんなに可愛い彼女は今、鬼会長として生徒会室で険しい顔で書類に目を通している。
他の役員はもう帰って二人しか居ないんだから少しくらい甘えてくれてもいいのに。
「美咲ちゃん冷たい…」
傷つきました、と悲しげな声でそう言うと、チラリと俺の顔を見てため息を付く。
「悪かったな。どうせ私は冷たいし、可愛くもない」
拗ねたように横を向く彼女に愛おしさがこみ上げてくる。
「お前ももう帰れ。私はこの書類を今日中に片付け−−−っ」
最後まで言わせずに後ろから抱きしめる。

「知ってる?夢に身近な人が出て来る時は、その人が自分のことを強く想ってる時なんだって」
「っ離せ!」
「毎日、夢に見たよ。そんなに想ってくれたの?」
「想ってなんかないっ」
意地っ張りな彼女は顔を真っ赤に染めて否定する。
そんな顔されたらここがどこだろうが我慢できなくなる。
「鮎沢は俺の夢、見なかった?」
「っ見て、ない」
嘘つきだね。
「−−最近、鮎沢忙しくてなかなか二人きりで会えなかったから、毎日鮎沢のこと想ってたよ」

俺は抱き締めていた腕を滑らせ座ったままの彼女の脚をスカートの上から撫でる。
「こんな所で……止めろ…」
上からのしかかられるような体勢で想うように身動きできない彼女を無視して続ける。
「止めない。毎日想ってたって言ったでしょ」
スカートの上から脚を撫でていた手を太腿の内側に滑り込ませる。
「毎日、鮎沢に触りたい、舐めまわしたい、よくしたい、って」
耳朶を甘く噛み、舐めあげる。
「っ−−やめ…」
彼女は俺の手の動きを止めようと自分の手を重ねるが、上手く力が入らないのか、俺の手を上から握るだけになっている。
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