novel 4

□dummy blue(R‐18)
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「あんまり可愛いのも、考えモノだよね」
つ…と身体のラインをなぞられ、ゾクゾクと戦慄く背筋を律して私を組み敷く男を力の入らない瞳で睨みつける。
「だってほら。可愛いから、こんな風に縛られて、ムリヤリ犯されちゃう」
睨みつける私の視線を笑顔で受け流すと、大きく引いた腰を力強く打ち付ける。
「ッ!…っ」
喉を反らしても塞がれた口からは十分な酸素をとることも出来ず、私は息苦しさに眉を寄せる。
「苦しい?可哀相にね。でも、まだ終わらないよ」
自ら責め苦を与える男はまるで他人事のように言うと奥まで打ち付けた太幹で私のナカを抉る。
「っ、…っ、ぅ」
背中で組まされ、きつく縛られた手首には既に痕がついている事だろう。
冷たくなった指先をギュッと握り込み、布を噛まされた唇を噛み締める。
与えられる快楽に飲み込まれまいと男を睨みつけても、男は口元を歪めたまま律動を続ける。
「このままずっと、犯してあげるよ。……美咲」
ゾクリとする程甘い声で囁く男の狂気に、私は逃げる事もできない身体を震わせるしかなかった。



久しぶりの登校だというのに私の気持ちは晴れる事もなく、息苦しい空気に外した筈の首輪を感じる。
久しぶりに袖を通した制服に浮き立つ気持ちは既になく、何処までも逃れられない現実が私の心を支配する。

『学校では、拓海って呼んでね』

口角を上げてわざわざ“お願い”とまで言ったのは、それが命令だと伝えるためだろう。
指を絡めて繋いだ手を、私はどこか虚ろに眺めていた。

「美咲…、美咲?」
ぼんやりとしていた意識が引き戻される。
隣に並ぶ男の態度は、具合の悪い恋人を心配するものとして周りの目に映っていることだろう。
「…大丈夫だ。う…−」
“碓氷”と言いかけて慌てて口を噤む。
「…拓海……」
通学の条件として碓氷が私に課したひとつが、学校では恋人として振る舞うこと。
いったいこんな茶番に何の意味があるのか。
ただ隷属するしかない私の隣に立つ男の横顔からは何も窺うこともできない。
それでも事前にさせられた約束通り名前で呼ぶと、その唇には満足げな笑みが浮かぶ。
「危なかったね。俺の“お願い”を忘れてたら、お仕置きするところだよ」
楽しげに囁く碓氷の真意をはかりかね、私はそっと嘆息した。
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