novel 3

□SANDY(R‐18)
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何かを欲しいと思うなんて、らしくない。
それが愛とか恋とか、形のないものなら尚更、らしくない。

そんな風に否定すればするほど、彼女への思いは強まっていった…。



彼女を抱きたい、そう強く意識したのは、海の家で背中に口付けた後。
彼女の水着姿を他の男に見られるのが嫌で、自然と体が動いていた。
視界を奪い、細い手首を引いて、汗ばむ背中に唇を押し当てた。
舌の先で舐めた彼女の汗に、欲望が一気に膨れ上がって、強張る身体に俺の痕を残した。

白い肌、細い身体、…甘い味。
唇が触れた瞬間に強張った身体は、間違いなく彼女が処女だと俺に告げ、猛烈に欲しくなった。
何も知らない彼女を、俺の色に染めてやりたい。
独占欲とも征服欲ともつかない感情が、俺の中で産声をあげた瞬間だった。

身体だけなら、簡単に手に入れる事ができると思った。
男嫌いのはずの彼女は、一度信用した相手にはとことん甘い。それが男であっても……。
だからそこを突いてやれば、いとも容易く彼女を組み敷く事はできるだろう。
いくら強いと言っても彼女は所詮女で、馬乗りになって押さえ付ける男を振りほどくほどには出来ていない。

安心しきった彼女の背後を見つめる俺は、黒い誘惑に、何度唆(ソソノカ)されそうになった事か。
実際、無防備な彼女を無理矢理犯す夢に、吐精したことだってある。
だけど、それをしなかったのは、失いたくなかったからだ。
身体だけじゃなく、心まで欲しい、それがどんなにも難しい事かは、わかっているけど…。

こんな風に彼女の事を考えていると、決まって体が熱を帯びてくる。
一応、健康な男子の正常な反応だと理解はしているし、嫌悪感はない。
以前の俺であれば、こんな時は外をふらついて、声をかけてきた適当な女で処理をしてたはずなのに、今ではそれができない。

彼女以外には触れたくもない。
彼女に触れたくて触れたくて、堪らない。

だから俺は、頭の中で現実には叶わない想いを描き、昂る熱に手を伸ばした。
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