novel 3

□D.T.D(R‐18)
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嘘だと…、夢だと思いたい。
だけどいまだ繋がったままの下肢から感じる破瓜の鈍い痛みが、無理に押さえ付けられて軋む関節の痛みが、これは現実なのだと私に思い知らせる。

「イヤ…、もう…い、や……、許し…て…」
重ねる懇願も、私を蹂躙する男には届かない。
灼熱の楔が隘路を抉るように出入りし、無理やりに開かされる。
無慈悲に抽送される欲塊によって、私の蜜壷は初めに感じた痛みを少しずつ忘れ、ジンジンとした疼痛が、何か違うものを私の中に芽吹かせる。
だけど、認めることなんてできない。
「ぃや……お願、い…うすい…」
一縷の望みを持って震える声で名を呼ぶと、碓氷はふっと目を細めて笑みを漏らす。
「これから、って言ったでしょ?よくしてあげるから、もう少し我慢して下さいね」
うっとりと囁く碓氷に、絶望に染まった瞳を閉じた。



目を引く生徒だった。
どこか冷めた空気をまとい他のクラスメイト達と距離を取る碓氷は、いろいろな意味で目を引く生徒だった。
他校にファンクラブまであるという整った容姿のほかに、文武両道とでも表現するのか、さして真面目に授業を受けている風でもないのに、成績は常にトップを保ち、やる気のない態度で臨む体育も淡々と他を圧倒する。
真面目に物事に取り組んだなら、どれほどの才能を見せるのか……。
もったいない、というのが正直な感想だった。
しかし時折見せる諦めを含んだ微笑みが、私の口を噤ませた。

日々の業務に慣れた頃、居づらい職員室を避けるように校内を見回るのが日課となった。
指導熱心な先輩教員達は競うように私に教師としての姿勢を教えてくれようとする。
ありがたいことだと思わなければならないと分かっているが、それでも辟易してしまうのは、私が教師として未熟ゆえだろう。
その証拠に誰も私の事を“鮎沢先生”と呼ばずに“美咲先生”と呼ぶ。
軽んじられるのは、女だからなのか、年若いからなのか…、答えのない問いに私は一人嘆息した。

人気のなくなった放課後の教室で本を読む碓氷に声をかけたのは、純粋に興味故だった。
ロクに話もしたこともない私にいきなり声をかけられた碓氷は、驚きに目を瞠りながらもにこやかに返答する。
当たり前のように“美咲先生”と呼ばれたことに少なからず胸が痛む。
だけどそんなことより、もっと話がしたいと思った。

必要以上に近付くことのない碓氷の態度と、流れる穏やかな時間が、ずっと続くと思っていた。
それなのに……。
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