導かれし者達
□第一章 王宮の戦士たちU
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「うん、ボク案内するよ!」
その日の内に、ホイミンのお陰で空飛ぶ靴を手に入れた。
そして私たちは、あの塔に入ることに成功したのだった。
「お古ですまないホイミン。…お主を町に連れて行くのには、少しばかり無理があってな…」
「ううん、ぜんぜん大丈夫だよ! ねぇねぇライアンさん、ボク、これ似合うかなぁ?」
一度遭遇し戦った魔物は、かなり手強かった。ホイミンにも装備をしてあげたかったのだが、生憎今の手持ちは皮の帽子だけだった。
――先程までホイミンを疑っていた私が突然そんなことを思うには、理由がある。
先ほど、塔の下階に子供が連れ去られて行くのを見た。
―彼方は、私達に気付いていないようだった。
その際、ホイミンは許せないと怒りを滲ませていた。そして、何としても絶対に助けようと、私に何度も何度も言った。
悪い奴ではない。
その自己暗示は、確信に代わった。
ホイミンは私の少しの傷にも敏感に、ホイミを掛けてくれた。
途中に、鱗の盾と覇者の剣を見付けた。私は既に鉄の盾を装備していたので、鱗の盾はホイミンに譲った。
また、私は鉄の槍もやると言ったのだが、重すぎてホイミンには扱えなかった。
「ねぇ、ライアンさん。仲間がいるって楽しいね!」
無邪気に笑うホイミン。まったく、かわいい奴じゃないか。
「…ああ、そうだな。私も楽しいぞ」
「本当?うれしいなぁ」
仲間がいると励まされる。時間や状況を共有できる故に、この―…絆は、強くなる。
「……ねぇ、ライアンさん」
「む?」
「なんか、ね。さっきから悪い気配が強くなってきてるの。…もしかしたら―」
――黒幕が、近い。
「……ぜったいに子供たちを助けようね、ライアンさん」
子供のようなあどけない声で
それはまるで独り言のように、呟いた。
「――無論、そのつもりだ」
私が剣を握り直した、その時だった。
「…ラ…イアン―」
聞き慣れた仲間の声。だがそれは私を馬鹿にしていた時の声音とは打って変わり、ほんとうに、絞り出すような声で、
「あ…っライアンさんあれっ!」
ホイミンが息を呑んだ。
彼の視線を辿った先に―
「―!!」
私も、目を見開いて絶句した。