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□甘えたさんの日
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太郎太刀


おっと……主、大丈夫ですか?

この大きな私に気づきませんでしたか?

気づかなかったのは私の方じゃないか?

そのようなこと、万に一つもありませんよ。

私の大切な主ですから、どこにいてもわかります。

ん?

どうしたのですか?

お顔が真っ赤ですよ?

それより今日は『甘えたさんの日』なのではないですか?

さて……この私にその大役が務まりますかどうか……。

主、私にして欲しいことなどありませんか?

え?

抱っこ?

あなたという人は……ふふっ。

ああ、拗ねないでください。

馬鹿にしたわけではありません。

本当にかわいらしい。

ご希望通り抱っこして差し上げます。

しっかりつかまっていてくださいね。

重くはないか、って?

軽すぎて心配なくらいです。

後で燭台切に言って、精のつくものでも作らせましょう。

それより怖くはないですか?

私は……とても大きいでしょう?

……………………。

まったく、本当にあなたという人は。

人に使えるはずのない実戦刀の私を、その細い体でいとも容易く使いこなしてしまう。

この先、あなた以上に私を使える人間はいないでしょう。

私の……最後の主。

この力、あなたのために、あなたの為だけにふるいましょう。

さあ、今日はその身がとろけてしまうほど甘やかして差し上げますよ。

私の、私だけの愛しい主。
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