turb

□目が覚めると……
2ページ/6ページ

五虎退


最初に目に飛び込んできたのは、もふもふ。

??

なんだ、これ?

ゆっくりと手を伸ばしてみると、柔らかい毛並み。

「ん〜……」

誰かの声がして、ふと腕の中を見ると、そこにあったのは……。

天使だ!
天使の寝顔だ!

スヤスヤと眠る五虎退の寝顔にカウンターパンチを食らい、幸せすぎる状況にプルプルと打ち震える。
そういえば、と昨夜の事を思い出す。



「一緒に寝よ?」

「?!」

「はい、決まりね」

いきなりのワタシの言葉に固まる五虎ちゃん。

そんな二人の様子を察知したのか、保護者・一期がどこからともなくすっ飛んでくる。

すごいぞ一期、長谷部なみの機動力じゃないか!

「主、弟が何か失礼をいたしましたか?」

「何も?」

「では、一体どうして五虎退はこのような顔を?」

五虎ちゃんを見れば、虎を一匹抱きしめながら目をウルウルさせている。

「一緒に寝ようね、って言っただけだよ?」

「?!」

一期はそのままフリーズしていたけど、再起動も早かった。

「何をおっしゃっているのですか!婦女子の寝所に侍るなどと!五虎退は幼いとはいえ、男ですぞ!」

「いや」

「ま、まさか主は五虎退に夜伽を……!」

主をどういう風に見ているかわかったぞ、一期よ。

赤くなったり青くなったり忙しい一期をグーパンチで黙らせ、五虎退を拉致する。

「あ、主様……」

不安いっぱいにワタシを見上げる五虎ちゃん……あぁ、何てカワユイの!!

頭をぐりぐり撫で回し、頬ずりしたいのをガマンして五虎ちゃんの前にしゃがみこむ。

「あのね、最近ちょっと寒くなったでしょ?五虎ちゃんの虎さんを一匹貸してもらおうと思ったの」

そんなワタシの言葉に、コクリとうなずく。

「でも、虎さん一匹だけ離されちゃったら寂しいでしょ?だからって五匹全部を借りちゃったら、五虎ちゃんが寂しい思いしちゃうじゃない?だから、五虎ちゃんと虎ちゃん、全部一緒に借りちゃおう!って思ったの」

そんなワタシの言葉にびっくりしたように顔を上げる。

「その方がみんなで暖かいし、お泊まり会みたいで楽しいじゃない?」

「お泊まり…会…?」

「お友達の家に泊まりに行って、たくさんお話ししたり、ちょっと夜更かししたりすることだよ。五虎ちゃん、ワタシの部屋にお泊りに来てくれる?」

そう言うと五虎ちゃんは、ぱあっと目を輝かせ、満面の笑みで「はい!」って言ってくれた。

そんなこんなで、ちょっとだけ夜更かしした翌朝、五匹のもふもふと天使な五虎ちゃんに囲まれ、暖かくて幸せな朝を迎えることができたのでした。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ