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□離れたくない長谷部
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名無しさんは長谷部の涙を指ですくい、膝立ちになると、そのまま頭を優しく抱き込んだ。

「あ…るじ…」
「ありがとう…ありがとう、長谷部」

きちんと自分の意思を伝えてくれて、ありがとう。

そこまで私の事を思ってくれて、ありがとう。

そう耳元でささやきながら、サラサラとした長谷部の髪を梳く。

「主…主…」

いつの間にか背に回されていた長谷部の腕が、名無しさんをかき抱く。

まるで、幼い子がしがみつくようにしている長谷部の前髪をかき上げ、何度も優しくキスを落とす。

「ずっと…一緒にいてね、長谷部」

そんな名無しさんの言葉に、ゆっくりと顔を上げた長谷部は、涙に濡れた瞳のまま極上の笑みで応える。

「主命とあらば」
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