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□いらっしゃ〜い!
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「薬研……後ろにいるのって……」

出陣から帰ってきた部隊を出迎えると、人数が一人増えている。

「ああ、大将お待ちかねの刀だぜ」

「どうも、すいま」

「いらっしゃ〜い!!」

どこぞの落語家よろしく、手を振り上げてアヤシイ関西弁で大騒ぎする名無しさん。

ドン引きする刀剣男士に構わず、両手を広げて歓迎の抱擁をしようとしたその腰を、後ろからさらうように引き止める近侍に名無しさんは抗議の声を上げる。

「何するの、みっちゃん!!」

「何するの、ってダメでしょ。女の子がむやみやたらに男の人に抱きついちゃ」

ため息をつく光忠の腕から逃れようとバタバタ暴れるその光景を、あっけにとられて見ていた刀剣男士が「なんなんや、この嬢ちゃん……」と呟いた言葉に、近侍三人衆の一人がピクリと反応する。

「貴様、主を愚弄するか!」

柄に手をかける長谷部より一瞬早くその男士が飛び退いた。
その手は柄にかかっている。

「なな、何すんねん!」

「きゃ〜‼︎」

耳をつん裂くような黄色い声に、その場にいた全員がびくりとする。

「ホンモノの関西弁だぁ!ねえねぇ、聞いた⁈何すんねん!だって!」

きゃあきゃあと騒ぐ名無しさんの額を、つかつかと歩いてきた歌仙がぴしり、と叩いた。

「歌仙!」

「少し落ち着きなさい、主ともあろう者が。きちんと挨拶もできないのかい?雅以前の問題だよ」

「……は〜い」

「さあ、新しい仲間をちゃんと迎えて」

そう促され、名無しさんは居住まいをただした。

「私がここの主です。明石国行さん、ようこそいらっしゃいました」

「は、はぁ……」

あまりの変わりように、あっけにとられる明石の耳に、懐かしい声が聞こえた。

「明石〜!」

「ほ、蛍丸!国俊!」

再会を喜ぶ三人は、同じ来派の刀だ。

「よ〜し、今日は明石歓迎パーティだぁ!」

名無しさんがそう叫ぶと、お祭り大好きな男士たちが、「お〜っ!」と声をあげ、準備に取り掛かるために本丸に戻っていく。

「まぁ、ああ見えて凄いんだ、あの主は」

一緒に戦場から戻ってきた薬研が、後ろから明石に声をかける。

「そうだよ〜、主は凄くて優しいんだから」

大事にしている蛍丸にそう言われては、明石は反論することもできない。

(あの嬢ちゃんの、どこが凄いんかさっぱりわからんわ……まぁ、蛍丸も国俊もおるし、世話になるとするか)

心の中でそう呟き、「早く入っておいで〜!」と声のする本丸を見上げた。

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