テニプリ
□侑士くんの日常
1ページ/1ページ
「あ〜、監禁したい」
「は?」
そんな物騒なことをつぶやく侑士に、名無しさんは雑誌をめくっていた手を止め眉をひそめる。
「監禁したい…」
名無しさんを後ろから抱きしめ、顎を肩に乗せつぶやく。
「な、なにすんねん」
「くだらないこ言わないの!」
侑士の頭をぴしりと叩きながらそう言うと、抱きしめる腕の力を強めながら、猛反発してくる。
「くだらないことあらへん!」
「どこがよ?」
「ええか?!今日、何人の男に触られたと思ってんねん!跡部に手ぇ握られ、長太郎に肩抱かれ、岳人に抱きつかれ、ジローに膝枕!」
跡部は、手の甲にできた傷を消毒してただけだし。
長太郎は、荷物が多くてふらついたところを支えてもらっただけだし。
がっくんとジローちゃんは……まぁ、いつものことだ。
「それに」
一呼吸おくと、
「太郎のヤツ、1時間以上も名無しさんと二人きりで!!」
太郎……榊監督とは、次の遠征の打ち合わせをしていただけだ。
「それがどうしたのよ」
「どうもこうもあらへん!!名無しさんはオレんや!!見ていいのも、触っていいのも、オレだけや!!」
耳元で叫ぶと、さらに名無しさんを抱きしめる手を強めた。
これに反論したら、さらに面倒になることは目に見えている。
ぎゅうぎゅうと抱きしめる侑士の腕を宥めるようにそっとなでる。
「侑士」
「…………」
「ねぇ、侑士」
ゆっくり優しく名を呼ぶと、腕の力が緩む。
名無しさんは侑士の腕の中でくるりと向きを変えた。
…………ちゅっ。
「見られても、触られても……こういうことするのは、侑士にだけだよ?」
唇を抑えながらフリーズする侑士にかまわず、読んでいた雑誌にまた目を落す。
「………………や……」
「?」
「やっぱり……」
「??」
「やっぱり監禁したい!!!」
「アホーーーー!!!」
そして、最初に戻る。