銀魂
□インプリンティング
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「オレにしとけ」
いつもとはまったく違う雰囲気をまとった銀時に、名無しさんは息をのむ。
この2年間、冗談まじりに言われてきたセリフ。
なんで?
なんでなんだろう?
自分にとっては、まったく意味のなかった言葉が、急にすとん、と中に入ってくる。
心の中に。
「でも」
「でも、じゃねぇ」
「だって」
「だって、でもない。返事は『はい』だ」
いつもとまったく違う強引さを見せる銀時に戸惑っていたが、理由はそれだけではなかった。
「ワタシ…土方さんが好きで」
「知ってる」
「土方さんはワタシのことなんて、なんとも思ってなくて」
「………」
「あの人の中には、忘れられない女の人がいて…」
「そうだな」
「そんなのわかってて…」
「うん」
「でも好きだった…」
「うん」
「大好きだった…なのに…」
ぽろぽろ涙をこぼす名無しさんの話しを、銀時は黙って聞いている。
「今日から銀さんが好きだなんて、おかしいよ!ありえな……!!」
泣きながら叫んだ言葉尻は、銀時の胸に消えた。
「はい、たった今から、名無しさんは銀さんの彼女で決定」
ぎゅっと抱きしめられ、耳元でささやかれる言葉に、名無しさんはゆっくりとうなづいた。
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