遙か5

□new experience
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「さあ……こっちへ」

ベッドに腰掛けた高杉は、ドアの前で立ち止まったままの名無しさんに手を伸ばす。

ドキドキする胸を押さえながら、名無しさんはゆっくり歩み寄り、高杉の手を取った。

初めて会った時は鋭い刃のように冷たかった双眸が、今ではウソのように柔らかい。

名無しさんの手を恭しくそっと握り、ふわりと微笑むその瞳は、どこまでも優しい。

「やっとおまえを……オレだけのものにできる」

いや、優しいだけじゃない。

まるで獲物をねらう猛獣のような激しさもはらんでいる。

優しく手の甲を撫でていた高杉に、いきなり抱きすくめられる。

甘えるように胸に顔を埋める高杉の髪を、名無しさんは優しく撫でた。

「愛している……おまえの全てをオレにみせてくれ」

恥ずかしさに頬が熱くなるのを感じながら、名無しさんはこくりとうなづいた。

少し強引にベッドに引き倒される。

上に見える高杉の顔は、今まで見たことのない男の顔。

それがまた格好良くて……胸をときめかせる。

着ていたものが一枚、また一枚と取り去られていき、誰にも見せたことのない肌が高杉の前に晒される。

「綺麗だ……」

うっとりとつぶやく高杉が、その肌に触れた途端、身体がびくりと反応した。

「どうした?怖いか?」

髪を撫でながら聞いてくる高杉に、ゆっくりと首を振る。

「違うんです……は、初めてだから緊張して……恥ずかしくて……」

じっと自分を見つめる視線に耐えられなくなって、視線をそらす。

そんな名無しさんの額に落とされる柔らかい感触。

顔を上げると、柔らかく微笑む高杉と目があった。

「本当に可愛いな……おまえは」

「そっ、そんなこと」

「オレが怖いか?」

もう一度同じ事を聞く高杉の目を見て、首を横に振る。

「オレが信じられないか?」

重ねてされる質問に、やはり首を横に振る。

「では」

緊張で少し震える名無しさんの手を取り、じっと見つめる。

「オレを信じて……全てをオレに任せてくれ」

優しく、真摯な瞳でそう言われ、ためらいのかけらもなく首を縦に振った。

自分の一番大切な、大好きな人と結ばれるのだ。

聞かれなくたって、そのつもりだ。

高杉の大きな手が、素肌に触れる。

肩を滑り、張りのある二つの膨らみを撫でる。

「あっ……」

思わず上がってしまった声に、口元を押さえると、高杉がゆっくりとその手を外させる。

「オレに全てを見せてくれるんだろう?声もちゃんと……聞かせてくれ」

優しい笑顔でそう言われ、口づけをされる。

そのまま高杉の唇は、首筋から鎖骨へと下がっていき、つんと上を向いた突起をやんわりと挟む。

「あっ」

舌で突起をはじくように舐められ、ビクビクと体が反応してしまう。
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