遙か5

□絶対的
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愛しい、愛しい、愛しい。

かわいくて、かわいくて……いっそ食べてしまいたい。

「やっ……桜智さん、くすぐったい」

ソファで本を読んでいた名無しさんちゃんの顔中に、ふわりふわりと落とす口づけに、クスクス笑う。

あぁ……なんてかわいいんだ。

「もー、本が読めないじゃないですか」

怒っているふりをしているなんて、私にはお見通しだよ?

少し尖らせた唇に、ちゅっと口づける。

名無しさんちゃんは頬を染めて、恥ずかしそうに俯いてしまう。

もう、数えきれないほどキスしているのに……全然慣れないその反応が、私を昂ぶらせる。

「……あ……桜智さん……」

名無しさんちゃんをそっと抱きしめ、唇への口づけを続ける。

優しく触れるように何度も何度も……。

繰り返すうちに、名無しさんちゃんの手が私の洋服を握りしめる。

少しずつ角度を変え、深いキスをしていく。

ぐだぐだのとろとろになっていく様を見るのは……私だけの特権。

あぁ……たまらない。

ぴちゃぴちゃ、と舌を絡ませあい口腔を余すところなく舐める。

「ふあっ……んん……っ」

次第に激しくなっていくキスに、甘えたような声を上げる名無しさんちゃん。

その頃には体から完全に力は抜け、熱を帯びて潤んだ瞳が私を見つめる。

その顔は……反則だよ。

私を誘っているとしか思えないもの。

柔らかいその体を抱き上げ、ベッドの上へそっと下ろす。

これからすることへの許可を取るように、もう一度触れるだけのキスをする。

ふわりとほほえむ名無しさんちゃん。

!!!!

かっ、かわいすぎる!!

後でこっそり「裏帳面」に記録しておかなければ!!

崩壊しかかっている理性を総動員して、ゆっくりと服を脱がせていく。

恥じらいながらも協力してくれるその様子がまた、たまらない。

白い肌に、無数の赤い跡。

もちろん、私がつけたものだ。

ありきたりだけど……自分だけのものである証拠。

下着を取って、生まれたままの姿になった名無しさんちゃんに頭がくらくらする。

ふわりふわりとついばむように、首筋に唇を落とす。

「んあっ……」

鼻から抜ける甘えたような声……記録したくてもできない事がもどかしい。

柔らかい膨らみにそっと手で触れる。

「あ……っ」

丸く円を描くように手を滑らせると、名無しさんちゃんはふるっと体を震わせる。

「んっ……」

期待に尖っている赤く熟れた果実には触れずに、脇腹やへそをそっと撫でていく。

絹のようになめらかできめの細かい肌に、新しい花を散らしていく。

「お……桜智さん……」

そんな少しの刺激に焦れてきたのか、名無しさんちゃんが私の髪を梳くように撫でてきた。

「どうしたの?」

少し意地悪をしてそう聞くと、名無しさんちゃんは頬を染めて視線を少しずらす。
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