dream

□ひと足お先に
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この季節。

やっぱりみんなは桜ばかりに目がいってしまうよね。

でも、桜よりはやく春を知らせてくれるものだってあるんだ─




ひと足お先に




「隼人っ梅の花が咲いてる!」


「…あぁ」


「むー。なんでそんな冷たいのー」


そんな君も好きだけどね。


「そういやぁ、梅の歌、あったよな」


「あ。無視?まさかの無視!?まぁ、いいや、それ、どんな歌?」



なんだか哀愁漂う隼人がかっこいいな。
こんなこと考えてるって君は知らないだろうけれど。



「東風吹かばにほいおこせよ梅花主なしとて春を忘るな…」


「…やっぱ、隼人頭いいよね」



博識な隼人。

その歌の意味はわからないけれど、きっといい歌なんだろうな。


「ねー、隼人、わたしにもなんか似合う歌詠んでよ!!」


「はぁ!?なんだよいきなり」


「良いじゃんっ」



そうやって困ってる隼人の横顔を見るのが好き。

わたしのために真剣に考えてくれてるところもね。



「…君がため 惜しからざりし 命さへ 長くもがなと 思ひけるかな」


「え?」


「……二度と言わねぇからな!!」


「ちょ、隼人、それ、どういう意味?」


「知るか!!!」



そういって先を歩いてしまう君。

ほんと、歌の意味も、隼人がなんであんなにも焦っているのかもわからないよ。



でも、梅の花だって咲いてるし、きっとこれは、そう。

お互いまた一歩進めたってこと、だよね?



END


***

かなり前に思いついて書けなかったものです。
今やっとかけたよ!!ちょっと会話多いけど、話の内容、というか和歌の意味は好きです!

隼人が主人公に詠んだ和歌の意味↓↓
君が僕の事を想ってくれるなら、この命だって惜しくないと思ってた。
でも、いざ君が想ってくれると少しでも永く、この幸せの中で生きたいと想うようになったんだ。

です。
…いわれてみたい←

向井

 

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