ふたご姫の部屋

□perfume
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実のところ、タネタネプリンセスのニーナに、「どうしたらいいかわからないの」と言われて、アドバイスしたのが始まり。そのアドバイスがいたく気に入ってくれたらしく、彼女が姉妹にそれを伝えると、10人のタネタネプリンセスがアドバイスを求めに来た。
さらに、それを見たプリンセス達が、こぞってレインにアドバイスを受けに来たのだ。
レインは、大好きな青色をした小瓶を手に取った。
とはいえ、本当に好きな空色の青ではなく、なんと言うか、月光に照らし出された透明度の高い、高貴で神秘的な香り。
ふっと、誰かの影が脳裏をかすめた。
(あら?誰かのイメージ?)
それをなかなか形にできないでいると、彼女の目の前にファインの顔がのぞき、思考が途切れた。
「レインの好きな青色だね。これにするの?」
「えーー?う…ん」
素敵な香りであることは間違いない。しかし、自分のイメージではない気がする。
「決まりましたの?あとはレインだけですわよ」
ファインの背後から、アルテッサが声をかける。
「ま…待ってて。わたし、これにするから」
レインは慌てて、レジへと向かった。月夜の色をした、美しい小瓶を持って。



「レインーー!朝だよ♪」
元気な声と共に、レインのまぶたの裏が明るくなった。
(う…ん、明るい)
重いまぶたを薄く開いてみるが、あまりのまぶしさに再び閉じた。それでも、まぶたの裏はひどく明るい。
レインは、たまらず毛布を頭からかぶる。
いつもお寝坊のファインに逆襲された気分だ。
「レイン、起きてよ!」
ファインは容赦なく、レインが被っている毛布をはがしにかかる。
イヤイヤと毛布にしがみつきながら、レインは思った。
(わたし、いつもここまでしているかしら?)
必死の抵抗もむなしく、毛布を奪われ、レインは渋々と起き上がった。
ファインの気持ちはわかる。
先週買った香水をつけて、水族館へお出かけなのだ。
ただし、アウラーとアルテッサのデートのおまけ。
どうしても二人きりでデートができないと言うので、みんなでお付き合いをしようということになった。
正直、デートなの?と言いたいところだが、本人達がOKなのだから、いいのだろう。
ファインはすでにいそいそと身支度を整えている。
(わたしも急がなきゃ)
この調子では、勢い余ったファインにおいていかれてしまいそうだ。
そうそう、今日のメインイベントーー?香水をつけて行くのを忘れないようにしないと…。
 レインは、引き出しにしまってあった青色の小瓶を取り出す。
(みんながみんな、香水の香りをさせてるのって、どうなのかしらーー?)
そう思って、レインはさりげなく香るように、ウエストの辺りに吹き付けた。こうすれば、ちょっと動いたときに、すぐそばにいる人にだけ、ふんわりと薫るはずだ。
レインは静かに鼻腔に届いた香りに心を奪われた。
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