ふたご姫の部屋

□恋しい夜
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レインは、ツンと鼻の奥が熱くなるのを感じた。今日で何回目だろう。 今日のミルキーの誕生パーティーのために、ドレスもデコールも新調したというのに…。
 久しぶりに会う、あの人のために。
がんばって選んだのに−−。
レインは、ちらっと壁際にかけてあるドレスを見た。
もう14歳なんだから−−と、少し背伸びをして、胸元が大きく開いた白いドレス。青い小さな宝石がちりばめられ、キラキラと輝いている。
だって−−学園を卒業しても、シェイドは、会いに来てくれると思っていたのに、数ヶ月間、一度も来なかった。
だから、寂しくて、悔しくて、会えたら、絶対文句を言ってやろうと思っていたのだ。
なのに−−風邪をひくなんて、悲しい。
罰が当たったのかしら−−心にもないことを、思ったから。

その時、コンコンと、微かな音がした。
(−−?)
(気のせい−−よね。窓の方から、音がするなんて)
ところが、また音がする。
「???」
レインは起き上がって、窓へ近づく。
そっとカーテンを少しだけ開け、のぞき込むと、恋い焦がれた姿があった。
バタン!と、勢いよく窓を開ける。
「シェイド−−!!」
信じられない気持ちで彼を見る。
(熱で、幻でも見ているのかしら−−?)
そう思っていると、シェイドの腕が伸びてきて、抱きすくめられた。
「レイン−−」
レインは、ドキドキと胸が高鳴るのを感じた。 熱で熱いのか、抱きしめられているから熱いのか、分からなくなってくる。
「レイン、まだ熱が高いみたいだな。」
ふわりと体が浮いたかと思うと、シェイドに抱き上げられていた。
「しぇっっシェイド!?」 ただ抱き上げられただけなのに、ひどく動悸がする。
顔がどんどん熱くなる。
シェイドはレインをベッドに優しく下ろし、毛布を掛けた。
レインが横になる傍らに、シェイドは座り、レインの頬をなでる。
すると、レインがうっとりと目を閉じた。
あまりの愛らしさに、シェイドの理性が吹き飛びそうになる。キスしたい−−そんな衝動を、何とか押し留める。
しばらくして、レインが目を開き、シェイドの目をじっと見つめた。
「−−?」
「シェイド、今日って、ミルキーの誕生日パーティーじゃなかった?」
「そうだが−−?」
「そうだが−っじゃないわよっっ!!準主役級じゃない!何でこんなところにいるのよ!!」
レインは一気にまくし立てた。少し痛みの残る喉で、声がかれるくらいに。
「きれいな声が、台無しだな。」
シェイドか眉をひそめる。
「のどが痛くって−−って、そうじゃないでしょお!」
「わかったから、そんなに大声出すな。そーゆー訳だから、お忍びなんだから。」
「そーゆー訳って、ミルキーが可哀想でしょ。」
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