ふたご姫の部屋

□perfume
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明るい照明の下で、色とりどりに光る小瓶を手に取り、少女たちは、楽しげにさざめいていた。
「ねえねえ、レイン。これなんて、どうかしら?」
アルテッサが目を輝かせて近づいてくる。
ミルロと話をしていたレインは、ゆっくりと振り向いた。
アルテッサが持つ明るい色の小瓶を見る。
「香り、嗅がせてくれるかしら」
レインが言うが早いか、アルテッサは香りのついた細い紙を差し出した。
そこに、ミルロがそっと囁く。
「ありがとう、レイン。これにするわ」
「いいえ、よかったわ」
頬を少し紅潮させているミルロに、優しく微笑んだ。
一呼吸おいて、アルテッサから受け取ったムエット(におい紙)に鼻を近づける。
「そうねぇ。いいんだけど、高貴なだけで、ハツラツとした感じがほしい気がするんだけど…」
「う〜ん、そうなのよね。でも、なかなかいいのがないんですのよ」
「これなんか、どう?」
少し離れたショーケースにある小瓶を指差す。そして、そこに備え付けてあるムエットの香りを一度確認して、アルテッサにも進めた。
「さっき嗅いだとき、アルテッサのイメージかなぁと思ったのよ」
アルテッサを見ると、彼女の目がキラキラと輝いている。
「ええ!いいわ。すばらしいわ、レイン。
あなたにこんな才能があったなんて、驚きですわ」
レインは少し苦笑いをした。
「ありがとう、アルテッサ」
レジへと向かうアルテッサの後ろ姿を見送ってから、レインはまたショーケースに目を向けた。
実は、まだ自分の香水を選んでいないのだ。
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