【乾で御題挑戦・U】
□01 痛い
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期待しない。
と、決めていた。
教室で、廊下で、放課後のテニスコートで。
学校にいる時は常に視界のどこかに存在する。
でも絶対に見たりなんかしない。
必ず視界のどこかに存在する乾。
三年間同じクラスにいて、ろくに会話もしたことのない自分に彼は興味なんて持たないだろう。
挨拶ですら、
話かける口実に、
できない自分に。
──期待なんてしなければ、傷ついたりしない──
「これ使って」
傘が嫌いなアタシは、多少の雨なら濡れる方を選ぶ。
今日は天気予報が大はずれして、バケツをひっくり返したような雨足だ。
流石に傘無しでは歩けなくなって、気休め程度に屋根のついたバス停で雨宿りしていた時…。
「これ使って」
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