読み切り

□籠の唄
3ページ/9ページ


「お ね が い ね !!! 」
「はいはい分かったって」


彼女の名前は実沙。
私の友達。

彼女は今私に好きな人を告白した。
そして手伝ってほしいとの事。


「で、どいつ?」

彼はサッカー部。
部活をしている姿を見せたいんだとか。


「あ、あれ!
今シュートした!」

「えー、どれ――ッ」



そう、
それは駄目だって分かっていた事。




だけど、



私も恋に落ちてしまった。


一目惚れ。


「って事で宜しくね!千秋!」
「え、う、うん」
















その日はずっと、モヤモヤしていた。

彼と付き合いたい。
あの人と、付き合いたい。




でも実沙がいるんだ。
実沙がいるんだ。
実沙が邪魔なんだ。
実沙を消せば、









いけない事を考えてしまったと溜息をつく。







そしてそのまま、











次の日。











大遅刻だった。

間に合わないけど走った。



ドンッ




「ッたあ、!」



「悪ィ!
遅刻すると思って走っててさ!」


う、わあ…
遅刻しててよかったあ…

今日の占い一位だったのかな?
目の前に昨日の彼がいるなんて、

夢、みたい。


だからこそきっとこんなチャンスは二度と来ないから、

「あた、しも!!
遅刻するから走ってたの!ごめんなさい」


「ははっ!んじゃ、お互い様だな!」


「う、うん!そう!」


あれ?
何かいい感じじゃない?



「って遅れんぞ!」


「あ、待って!!」


「んーっ?」




チャンスは掴んでやる。
実沙よりも早く。



「な、名前は?」


「俺?俺は、結城翔!
あんたは?」


「あた、あたあた…
あたしは……」


こんなテンパッてるのに、
もうすぐチャイム鳴るのに、


静かにあたしの次の言葉を笑顔で待ってる結城君。




「あたしは…小鳥千秋!!」
「小鳥、、可愛い名前だな!」


そのままの笑顔で、
そう言って彼は階段を駆け上がった。



かっこいいなあ、、


キーンコーンカーンコーン


って、


「、遅刻ッ!!」
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ