一転

□勉強会
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「ねぇ、祥ー。これは何だー?」
「どれ…お、」



結構集中してやってる。


昼休みももうすぐ終わりそう。


その時蘭太が分からないと言って祥に見せた問題。
その問題はハンパなく難しかったみたいで、
祥の反応からすると、祥自身もその答えが分からないと見てとれる。




「なあ、祥ー。」
「こ、これはだな…」

祥にもプライドというものはあるらしく、
必死に自分のノートに何度も解いている。

そんな祥を横目に想真は、蘭太が分からないといっている問題に目を向けた。



そして一旦自分のノートに解き、
それを蘭太のノートにもう一度解く。

「これは、難しいけど覚えると便利な計算式があって…」



肘をつきながら、
さも簡単な問題を解いているかのように
スラスラとペンを進ませながら蘭太にその意味を説明する。


それを見て蘭太は勿論、
祥はめちゃくちゃ驚いている。


「え、え、?
想真そんな頭よかったっけ、?」
「失礼しちゃうよ祥くん」


ぶーっと頬を膨らませると時計を見る。


「あ、そろそろチャイムなるんじゃない?」
「げっ!やべ、んじゃ今日はこれで終了!!解散!!」


そう言うと祥は風のように、
いや、風よりも早く屋上を後にした。


「何か佐々木君の顔、赤かったですね」
「え、俺?」
「いや…弟さん」


そういえば佐々木君は二人いたんだと言った後に気づく。


「何で赤かったんでしょーねー?」

体は蘭太の方を向け、
目は想真の方を見ながら言う智。

その視線に気付いた想真は

「さあね」

とだけ言って屋上を後にした。


「ふふっ、想真さんってたまにからかうと楽しいんですよね」
「え、S!?」
「そんなわけないじゃないですかー」


そう言って笑う智の笑顔が蘭太には黒く見えた。


そして、
智は実はそんなキャラなのかと考えた瞬間でもあった。



「チャイムなりますね」
「行かないの?」
「私いつもサボるんですよ。
あ、佐々木君には内緒ですよ?」
「お、おおぅ」





可愛い顔して実は不良?
とも思う日でもあったりする。





勉強会
―End。
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